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いま多くの会社が直面している課題 そしてサービス業の未来を創る人達へ 

いま多くの会社が直面している課題 そしてサービス業の未来を創る人達へ

2020年11月12日 

 

オンライン講演 第二部

 
※ ご理解を深めるため、第一部からご覧ください。>>>LinkIcon
 
 

■プロローグ

 
 
小嶋千鶴子刀自と岡田卓也氏という御仁の話をすると誤解される恐れがあるため、補足致します。
 
お二人に関係する団体や組織を贔屓したり、妄信的に賞賛したりする意図は、一切ありません。
 
無用な誤解を生まないよう、補足することからはじめます。
 
 
私がセミナーや研修の御依頼を承る際は、必ず当該企業しかない良い血脈を熟知しようとします。
このため、創業理念を確認するだけでなく、現社長と膝を突き合わせ、何時間もかけ経営哲学を伺うこと、しばしばあります。
 
恐らく私のようなことをする会社はないでしょう。
私は、非常識かも知れません。
 
非常識だとしても行う理由は、私が重きを置くことがあるからです。
それは、弊社の理論を一方的に押しつけると、ややもすると経営層と現場の不和の原因になる可能性があるのです。
これでは行う意味がありません。
 
確かに、波風を意図的にたてることはあります。
なぜなら、新しい風は中からよりも、外から吹く。それも自然です。だからこそ、外部の弊社に依頼が有ったのだと存じるからです。
 
しかし、闇雲に波風を立てても意味がありません。人間関係の不和は、組織の士気を下げます。士気の低い組織に発展はありません。したがって、細心の注意を払う必要があります。
 
仮に波風を立たせる必要がある際は、先を見据えて意図的に行っています。
 
 
どの企業でも店舗でも、最も優先すべきは、その企業、店舗でしかない良い血脈であります。
独自に育んできた良い血脈を続けていくことこそ、その企業がこの世に存在する意義になる。私は、そう考えています。
 
それが、強い経営の源を作ることになると多くの事例から学んでいます。
 
したがいまして、いかなる企業に対しても、盲目的に小嶋千鶴子刀自や岡田卓也氏という御仁の生き方や哲学を薦めようなどという意識は、私には毛頭ありません。
 
この点は、けっして誤解の無いようお願いします。
 
確かに、イオングループは学ぶべきと思うところが多々あります。私自身、店頭で実に多くのことを学ばせて頂いております。

金融、不動産開発、商品開発は感心するだけでなく、これからサービス業を志す人が学ぶべきと思うことがたくさんあります。
 
しかしながら、ここ数十年の間、顧客側から、また仕事柄の観点で観察していると、非常に根の深い問題点もあると感じています。

ただし、この非常に根の深い問題点は、イオングループに限ったことではありません。したがって、イオングループを批判するつもりも、悪く言うつもりも毛頭ありません。
 
なぜなら、大手サービス業のほとんどの企業が同じ問題を抱えているからです。
 
 
間違いなくイオングループは人に恵まれる企業群です。
ただただ残念なのは、人の本能を味方にするという観点が人事戦略に組み込んでおられないと分析しています。
 
全国のイオングループ各店舗で、これほど良い人達が働いているのに、実に勿体ないと感じています。
 
これらの根拠を具体的に説明することは可能です。しかし、働いている人達に無礼になるので、現象として表れている箇所は挙げません。
 
人様の会社を部外者がとやかく申すのは無礼の極みです。ここでは具体的な話は控えます。それが人としての礼儀と思います。
 
あえて私が具体的な個所を挙げなくても心配はありません。安心してください。
なぜならば、法人も私人同様で必ず欠点や短所はあります。未熟なまま死に至る人間の集団であるからです。
それ故に、欠点や短所を見つけるだけでは解決にならず意味はありません。
 
インターネット上で、他者の瑕疵を具体的に批判している人が増えていますが、世の中は良くはなりません永遠に。
他者の欠点を見つける能力が、いかに高くても幸福にはなれない。世俗は、互いに不足部を補い合いバランスを取るようにできている世界です。このため、批判能力よりも、受容能力の方が平穏無事に生きる上では必要になる。あなたも、これに気づいたかも知れません。
 
したがって、企業や店舗でも大事なことは、表面化されている現象を観て批評するよりも、原因の発見が解決には重要になる。この自覚です。
 
 

原因が分かるからこそ、軌道は変えられる。
人生もまた然り。

 
 

そこで、あなたにも全てのサービス業が大きく発展する中で陥る怖い点を自覚して頂くこと。現況の原因を理解する。これが、ここでの目的です。この目的のために、お話しましょう。
 
 
人の本能を味方にするという観点が人事戦略に組み込んでおられないと感じるところを語ると時間が掛かりすぎてしまいます。
 
そのため、逆の視点から、なぜ人の本能を利用できなくなるのか。その原因をお話します。
問題解決には、今起きている現象を知ることより、原因を知ることの方が的確です。
 
 
イオングループに限らず、人の本能を利用できない大企業は、論理思考優先型の管理職、即ち左脳型と言われるタイプの管理職を育成するプログラムは有していても、右脳型と言われるタイプの管理職を育てるプログラムを持っておられない。そのように、私からみえています。
 
これが、イオングループ内の食品以外の小売り部門が軒並み苦戦している原因だろうと多数の店舗を拝見した私の推測です。
 
ただし、これはイオングループ特有の問題ではありません。
日本国内のほとんどのサービス業に生じている原因でもあります。
 
特に百貨店業界は、対岸の火事などと思っていたら、益々恐ろしいことになるでしょう。
 
 
そこで第二部の講演では、全てのサービス業にあてはまる非常に根の深い問題点について、あなたにも関係する内容でお話しましょう。
 
 
ここでは、具体的な解決策までの話は、時間の関係で割愛します。
しかし、内容を自分事だと思いながら深く考えて頂ければ、必ず新たな発見に繋がると思います。そのためにお話します。
 
是非、真剣にご覧ください。
 
 
 

■ 本題

 

組織が大きくなればなるほど、業務遂行、制度構築、部署間の関係性等々、あらゆる行為がシステマチックに動きます。

これは、組織が成長するためには、避けて通れないことです。正しい組織の有様です。
 
ベンチャー企業を観ても、一定の成長を遂げると、創業者は、組織を整えようと考えるようになります。時間の経過とともに混沌状態から秩序へと移行しようと働くのは、自然界と同じです。
 
したがって、組織が機能的になろうとすることは、けっして悪いことではありません。
問題は、組織の有様ではない、別のところにあるのです。

それは、サービス業の場合、次の現象を無視してはいけないのです。
ところが、気付いていないサービス業の会社が、現在非常に多いです。
 
もしかすると、あなたも気付いていないかも知れません。いかがでしょうか。
 
無視できない現象とは、組織が大きくなればなるほど、左脳型といわれる人の方が頭角を現しやすくなるということです。
 
人事考課を行う際、左脳型の人の方が、目に見えて点数をつけやすいのです。
右脳型の人の功績は、数字にし難い部分が多くあります。
 
例えば、職場の士気を上げ、組織の活気維持に貢献している。あるいは、顧客との関係性を高め、ブランディングの一翼を担っている等があります。これらは商売上、非常に重要であります。
 
勿論、右脳型の人の中に、これらの貢献が目に見えて人事考課の対象になっている人もおられます。
ところが、上司の目に見えないところで活躍していることも、実は多いのです。

厄介なのは右脳型の人は、長所より短所の方が、上司の記憶に残り易い。
これが、右脳型の人が大組織で出世しにくい原因を生むのです。
 
 
極めて残念なのは、右脳型の人ほど、右脳型特有の短所が周りの人の記憶に残り安いという自覚が薄い。
 
 
私のような人間から具体的に指摘されて、生まれて初めて気付いたという人が多いのです。
 
右脳型の人は、感性が豊かで、心が活発に動く。そのため、感情の起伏も大きい人が多く、都度の士気に、業務の成果が左右される。時間管理が大まかになり易く、プロジェクト・マネージメントに不向きな人が多い。〆切りギリギリにならないと動かない人が多いのも、右脳型の人に多くいます。
 
 
さらに具体的な例を挙げましょう。
 
他人の手帳を御覧になる機会は少ないでしょうが、右脳型の人と左脳型の人の手帳を見比べると、時間に対する考え方の違いが、すぐに判ります。
 
右脳型は、時間という概念が曖昧で、非情にスケジューリングがアバウトなのです。
したがって、10分、15分という細かい単位でスケジューリングする人が少ない。
 
一方、左脳型の人は、スケジューリングがタスクの積み上げになっているため、今日何をすべきかが一覧で分かるようになっています。そして、一時間単位、三十分単位という具合に細かく設定されています。
左脳型の人は、大雑把な時間割になっていることが少ないのです。
 
 
今度は、別の例を挙げましょう。
 
デスクの引き出しの中を見れば、整理整頓の仕方で、右脳型の人だと多くの場合、簡単に判定できます。右脳型の人は、デスクの引き出しの中を見ると、カオス状態が多い。簡単にいえば、書類の間に筆記用具があったりと、乱雑ということです。
 
無論、例外もおられますので注意が必要ですが、左脳型の人は多くの場合、物の置き場が決まっている人が多いのです。
したがって、物を探すような無駄な時間がありません。そのため、無くし物や、忘れ物も少ない。
 
オフィスの中で四六時中慌てている人に左脳型の人は、まずいません。
左脳型の人は、多忙でも忙しそうに見えない。そのため、仕事もできるように見えるのです。
 
無論、典型例を話しています。例外の人は必ずいます。100パーセントだとは言っていません。その上で、あなたの周りの人達を観察してみてください。
 
 
大組織ほど業種を問わず、左脳型の人を無意識に重用する傾向が強い。
大企業の人事考課では、左脳型の人の方が優秀に見えてしまうのです。
そのため、何もしないと数十年の間に、中間管理職、経営層が左脳型だけになるという現象があるのです。
 
恐らく多くの方々が気付いていないかも知れませんが、私からみれば非常に怖いことだと思っています。
 
左脳型だけになるという現象は、デジタル系や、商社、メーカなら問題が生じ無くても、サービス業の場合は、非常に厄介な現象となるのです。
 
無論、左脳型タイプの人が悪いということではありません。
 
論理的に思考し、仮説検証を繰り返し、分析しながら事に当たる。感情の起伏が少なくコンスタントに成果をあげる。これらは、けっして悪いことではありません。
 
会社の成長には、左脳型タイプが一定数いることが大事だと言うことは、私も分かっています。
 
左脳型の人の方が、離職率も低いと経験的に感じています。また、協調性が高く、不平不満を口外する人が少ない傾向にあります。
したがって、組織が大きくなると、左脳型の人の必要性は高まります。
 
 
その上で、なぜ経営層や管理職が左脳型だけになると怖いのか。
それを、あなたも一緒に考えて下さい。

私がサービス業の会社を観るとき、大きく三つの視座があります。
 
 
一番目が、来客者の状態。例えば、十歳未満の子供の様子や、顧客の買い物後の表情などです。
 
 
二番目が、現場従業員の状態。例えば、心身の動かし方。不和の有無。士気の高低などです。
 
 
そして、三番目が経営層の方々の右脳型、左脳型の構成比率です。

理想的な比率は、50対50だと思われますか?
 
右脳型、左脳型の構成比率が五分五分だと、争いの元になります。
理想的な比率は、7対3、あるいは8対2です。どちらが多い方が良いかは、当該企業の社風によって変わります。
 
 
問題は、なぜ構成比率を観ているかなのですが、私の見方を特別に話しましょう。
 
 
左脳型の人だけで経営層が構成されている場合、安定的な成長をしている時期は問題ありません。
しかし、有事や業績不振時では、多くの場合、解決策が生じてきません。
 
何年経っても業績不振から脱却できないのは、経営層や管理職層を構成する人が無能なのではなく、構成比率に問題が有る。そういって過言ではないのです。
 
論理や理論崇拝は、一概に悪くはありません。
しかし、心の隅に論理や理論崇拝のデメリットをおいておかないと、創造性を生まないのです。
 
論理や理論構築の盲点は、論理学を学んだ人なら、これから話すことは分かるかもしれません。
 
脳の中で論理式をつくる際、人は言語を使い組み立てているのです。人が考えるとは、脳内で言葉を使うことなのです。
 
したがって、言語をあてている以上、既知となっている知識がベースになり、未知のものは当てはめません。これが、盲点の一つです。
 
 
その良い例が、アリストテレスの三段論法です。【link:言葉の意味は、goo辞書©参照願】
 
一見、論理的に推測しているようで、実際は、既に結論が見えていることしか表せない。意味を無視して無理矢理に三段論法で論理式をつくると、言葉の文法上問題無くても、現実世界ではあり得ないということが生じます。
 
例を出します。
三段論法は、「すべてのBは、Aである」「すべてのCはBである」「ゆえに、すべてのCはAである」という論理式です。
 
この論理式内のABCにそれぞれ言葉をあてはめ推理を完成するのが、三段論法です。
 
子細割愛して結論から言えば、三段論法で論理式を作る際、既に「ゆえに、すべてのCはAである」という結論が分かっていなければ作れない。この点が致命的な欠点です。そして、これが盲点という理由です。
 
 
したがって、論理思考で考えることは、既知となっているものを効率的に整理したりする際は効果的でも、未知のものへの対応は不向きなことがある。こうしたことが、現実にはあるということ。これを知って頂きたいのです。
 
学問的な話をすると眠くなるという人もいるでしょう。
 
 
そこで、分かり易くするため観点を変えましょう。
 
ベンチャー企業を創業して成功する人は、よく考える人が多いです。考えなしに大成した人を、私は知りません。
 
ただし、見逃せないのは、よく考える人でも、理論や論理が先に立つ人は、実は少ないのです。いや、観たことがないというのが正直なところです。
 
創業者には、論理思考優先のタイプより、右脳型の人が多いと見ています。右脳型の人を私達の言葉に換えると、情緒的思考優先型となります。
 
もし疑いなら、あなたの周りで成功している創業者に、理論や論理的思考を優先して成功したのか尋ねてみてください。私の言っていることが、すぐ分かるはずです。
 
ビジネスも商売も、顧客が人間です。そして経営者を取り巻く、従業員や業者が人間です。相手が千差万別の人間であるからこそ、理論や計算通りに物事が進むことが、ほとんどないのです。
 
無論、理論や計算で予想は立てられます。
しかし、予想は予想であって、確実ではないのです。だからこそ、行動してみないと分からないのです。
 
問題は、理論や計算通りに事が進まない際に、対応する能力は何が基本となっているか。
 
この点を見過ごさないことであります。
それは、人心の動きを観る能力。即ち、他人の心の周波数に合わせる感覚を有しているか否かが重要になるのです。
 
 
左脳型の人の多くが、論理的思考優先で将来を考えます。その結果、頭の良い人ほどリスクをとることを躊躇するようになります。そこで、何も変化させない方が安全だと無意識に感じる。
 
これが、左脳型の優秀な人が増えれば増えるほど、組織内での停滞気質や、イノベーションを阻害する風土を生んでいくのです。
この現象を人事戦略に入れている企業が、恐ろしいほど少ないのが現状です。

一方、右脳型の人は、考えることより行動が先になるタイプが多いため、リスクを回避するのではなく、無意識にリスクと闘おうとする。この感覚が、人を相手にする仕事や、新規開拓に向いているのです。

これ以上、事細かに話すと、非常に長くなってしまうので、結論をお話しましょう。
 
経営層や管理職が左脳型だけになると、マーケティング理論は詳しく知っている。そしてビックデーターから顧客の購買動向は分析できる。そして、綿密な販売戦略を立てることもできるのです。
しかし、顧客の心に入れない。
 
その結果、なぜこれほど良い商品なのに売れないのだとなる。
 
また、左脳型の管理職は、仕事を分散化し部下に振り分けることは得意でも、部下の士気を上げることは不得意な人が多くなる傾向があります。
 
そのため、上層部が左脳型だけになり、末端部(現場)が右脳型の人が残された状態が多いと、組織は上下で温度差が生まれるのです。この温度差が、現場の不満になっていくのです。
 
そして、厄介なことに左脳型の管理職は、現場の不満をくみ上げることが苦手なため、末端従業員の士気は、益々下がる。
 
この状態の店は、顧客側から観たとき、「この店は何となく感じの悪いお店」、「二度と来るまいと思う店」という記憶が残る典型的な店なのです。
 

次のことを、商人道義塾で学ぶ人は気付いてくれるでしょう。
 
サービス業は、商品力よりも遥かに見過ごせないことがあります。現場担当者の士気の高さに正比例して売上が上がる世界なのです。
したがって、現場の人達の士気を下げる人が、営業成績を上げられる管理職に成り得ることは不可能なのです。
 
この現実が人事戦略に入っていない大組織ほど、売上不振を脱却できないのです。
 
では、逆に右脳型の人だけが管理職や経営層になるとどうなるか。
創業間もない時や、勢いがあるときは問題は生じません。
 
右脳型の管理職の場合、直感的であったり、感情を重んじたりすることが多く。その結果、意思決定が頻繁に変わる。まさに朝令暮改に成りやすい。
そのため、部下は自分のペースが掴みにくく疲弊し易い。これは、組織が小さい間は、良いのですが、大きい組織の場合、軽視すると組織のパフォーマンスは下がります。
 
右脳型の経営者層が多いと、成功報酬型を好む傾向があります。
そのため、安寧を好む傾向の強い人達の離職率を高めてしまうことがあるのです。これが大企業化にブレーキをかける原因の一つだと言っています。
右脳型の人だけでも駄目だという現象が分かっています。
大企業になるために、右脳型の人だけでなく、左脳型の人も必要だと言った理由は、これになります。
 
歴史を見ても、論功行賞だけで天下を取るのは難しい。多くの人は、できるだけ変化のない生活を本能的に欲するのです。
したがって組織は、バランスが大事である。左脳型だけになるという現象を放置しないことの大事さを、先ずあなたが知ることで、あなたの環境は変わるはずです。

そこで、大企業に現在ないと言った右脳型の管理職育成プログラムとは、何か。
気になりますか。
 
商人道義塾で哲学編からはじめるのは、右脳型の管理職育成プログラムでもあるのです。したがって、あなたは心配ありません。
 
 
そこでもう一歩踏み込んで補足します。
 
話を分かりやすくするため、左脳型管理職育成プログラムと比較しましょう。
 
私が言う左脳型管理職育成プログラムとは、全て言語化されたもので身に付ける領域となります。
例えば、法律、財務経理、経営管理等々、MBAで学ぶことも含まれます。
 
 
一方、右脳型の管理職育成プログラムとは、言語中心ではなく、感覚中心で会得する領域となります。
 
特に重要なのは、科学的に実証されていないことでも、実務的な経験、私生活での経験を総合的に踏まえて、人間という生き物を感じ、そして実践的に学ぶ領域。それが右脳型の管理職育成プログラムです。
 
哲学編の講義を実践編より前にしているのは、知識を深めることに重点がおかれているのでは無く、感情を揺さぶって頂くためです。
強く心が動く。これが大事な目的なのです。
 
右脳型の管理職育成プログラムの最も中心においているもの、それは、人間という生き物を深く感じることです。
 
例えば・・・、
 

● 鬼の形相で激高している顧客が、一時間もしない間に仏顔になって帰る。なぜ人間には、こうした現象があるのか。
 
 
● 才能が無くても士気が高い方が、長い目で観たとき成果が上がる。それは、なぜなのか。
 
 
● なぜ女性脳を持つ従業員は、店舗売上よりも、職場の人間関係が優先されてしまうのか。
 
 
● なぜ女性脳を持つ従業員は、自身の能力が高くても、周りの雰囲気に合わせて能力を出さないのか。
 
 
● 制度を整えるだけでは、なぜ女性管理職は増えないのか。本能的に頭角を現すことを嫌う女性脳が多いという現象を知らない男性管理職は、女性管理職を増やせない。
 
 
● パートタイム職員の離職を恐れ、何も言わない店長がいる店は、業種問わず売上の良い店はない。それは、なぜか。
 
 
● 贈り物を買うとき、相手を満足させようと思うほど買うのが難しくなり、相手を喜ばそうと考えると買いやすくなるのは、なぜか。
 
 
● なぜホームレスと言われる方々には、男性が多いのか。
 
 
● 部下から慕われる厳しさと、パワハラとは何が違うのか。
 
 
人間という生き物について深く感じる時間をもつための訓練プログラムが、右脳型の管理職育成プログラムの一例になります。
 
そして、人間という生き物を学んでも、それだけでは、まだまだ足りません。
そこで、私が行う右脳型の管理職育成プログラムには、呼吸の仕方を変えるトレーニング。眼球のトレーニング等、見たことも聞いたことも無いと言われるものも含まれています。
 
 

商売は、人間が人間のために行うものです。

サービス業で従事する人が人間自体を学ばず、手法や理論だけ学ぶことは、私から観ると非常に不思議なことです。
その不思議なことを、何の疑いもなく長期間続けている企業の方が圧倒的に多いのです。
 

ある会社の役員研修で、「営業成績の悪い保険外交員がいます。皆様なら、営業成績を良くするために、見栄えの良い服装に着替えさせて、すぐ営業に行かせますか」と尋ねました。
 
一人の役員が、「山口さん、そんなおかしな考えの人は、この世にいないでしょう。着るものや持ち物が替わっても、営業成績は上がりませんよ」と笑いながらおっしゃった。

そこで、私は「世の中には、沢山いますよ。ご覧になったことありませんか」と答えました。
その方は、大変驚かれました。そこで、具体的な例を挙げました。

「今の小売業は、ほとんどです。特に大型商業施設や百貨店業界は」と申しました。
 
「確かに笑えませんね。我々もややもすると、仕組みで考え、制度が施行されたら終わりと考える。まったく他人事ではないですね」と、私が何を言いたいか、すぐお気づきになった。この気づきが、今の時代は大事なのです。
 
あなたは、何をお感じになりましたか?
 
駅前で大型商業施設や百貨店が閉店になる時代です。
店の経営者が悪いと言えば、簡単ですが、しかしそれでは本質をついていない。
ましてや店員が悪いわけでも、商品が悪いわけでもありません。
 
百貨店を例にすれば、GMSや大型複合施設と、差別化できない理由を、百貨店で働く正社員、パートタイム職員問わず、理解していないだけなのです。
 
従業員は指示で動きますので、最も理解していないのは、確かに経営層や管理職なのかも知れません。
 
百貨店にあるものは、高価で質の良い物だと、顧客なら皆知っています。
しかし、高価で質が良い物を置いていても、働く人達が付加価値を演出する力がない。スペシャルティが無い。
 
それなら、同じ物は安価なところで買えば良いと顧客は思う。
人心とは、そういうものです。
 
特に今の時代、かさばる物、重い物を買って帰る人は少なくなる一方です。
実店舗で実物を見て、携帯電話で最も安い所を検索し、あとは届けてもらえば良いと考える。これもまた、人情であります。
 
ところが、どこよりも高い値段にもかかわらず、この店で買いたいと思う人もおられる。なぜなのか。

だからこそ、人間という生き物について深く学ばない人は、商売はできないのです。
 
したがって、大組織に発展しても、右脳型の管理職育成プログラムを有していない組織は、栄光盛衰の波を受け易く、必ず苦戦する様になる。
それが、サービス業の宿命だと私は言っています。
 
 

本題から離れるかも知れませんが、あなたのために、少し話を広げます。

私がコンサルタントになって以来、私の研修を受ける方々には、研修前にプロセブダット(Prosebu-DAT)と呼ぶ、弊社独自開発の精神分析を受けて頂いています。
 
パートタイム職員のセミナー等、一度に大勢受講する場合は、受験しないという例外もあります。
しかし、管理職の方々は必須であり、拒否される会社の仕事は、原則致しませんでした。
 
Prosebu-DATで、サービス業適性7段階の判定と、心理状態を把握します。

さらに右脳型、左脳型、男性脳型、女性脳型と4領域に分類して、それに合わせたセミナーを実施する。これが、最も受講後の成果が高いのです。
 
ただ公平を重んじる大企業には、このタイプ別研修を受けて頂けないことが多い。その悩みがありました。
 
タイプ別で研修が必要なのには理由があるのです。
 
例えば、この言葉は左脳型の人の心に入らない。この言葉は、右脳型の人には響かないという具合に、研修前から分かっているのです。
したがって、右脳型、左脳型、混在の研修は質疑応答の時間がとれないほど、しゃべりっぱなしになるのです。同じ内容でも表現が二通り必要になるからです。
 
人の心に刺さらない言葉の講演やセミナーは時間の無駄でありコストの無駄。それが私の考えです。そのため、大変なのは分かっていますが、非常に神経を使い話しています。
それだけに、タイプ別の重要さが判っているのです。
 
セミナーや研修でも、これだけ細かな区別が必要なのです。
人事考課や経営管理では遥かに必要になる。
それを、あなたにも知って頂きたく話を致しました。
 

結論を言えば、理想は右脳型、左脳型と人で分けるのでは無く、「個人の心の中が、理と情のバランスで整っている」ということです。
 
私が管理職育成プログラムで話す際、特にトップリーダーとしての生き方を語るときは、理と情のバランスを、どのような方法で得るかということを非常に重要視しています。
 
塾生の方々の中で、将来トップリーダーを目指す志がある人がおられれば具体的な話をして参ろうと考えています。
 

この講演で話している小嶋千鶴子刀自、岡田卓也氏という御仁も理と情のバランスが良い方々と私は観ています。
ソニーを創業した井深大翁、松下電器産業を創業した松下幸之助翁はじめ、名経営者と言われる人達は、理と情のバランスが良いのです。海外も同様です。
 
 

因みに、トップリーダーたる者、非情で無ければならないという人がいます。
一見正しいように聞こえます。
しかし、この言葉を聞く度に、人の勉強をしていない人だと、私は思うのです。
 
全ての社員に対し公平になるために、トップリーダーがとる境地は非情ではありません。
現実を直視しつつ、清濁を併せ持つ存在が人間だという事実を受け入れ、眼前の人々の感情には振り回されず、俗事に心を留めない。この達観が必要です。
 
非情と達観では、全く違う境地です。
 
非情についていく人がいるのは、利害が一致している時だけです。
多くの人間は、リーダーの非情さに惹かれるわけではありません。寧ろ、リーダーの深い情に触れたとき、この人のためなら私は何でもするという気になるのです。
 
 

人望は、非情からは生まれない

 
 
この現実を踏まえて、泣いて馬謖を斬るということをしなければならない時は、非情になるのではなく、公平の原則に従順になる厳しさを持てば良いだけのことです。
 
非情をリーダーの心得とするのは、人間の現実を知らない人の心得です。
 
 
 

情に流されまいと非情になるは、滑稽の極み
依怙贔屓せず、公平を重んじれば良いだけのことである

 
 
 

小嶋千鶴子刀自を例にしましょう。
 
 
小嶋千鶴子刀自が現役時代、臨店した時の話とのことです。
 
店の売り上げデータに問題があると気づきました。あるレジ係がお金をごまかしていることが分かったそうです。問題は、店長が黙認していたことも分かったのです。

小嶋千鶴子刀自は、即刻店長を解雇しました。
 
不正を働いた当人だけ罰し、黙認した店長に恩情をかけ許せば、組織の統制が利かなくなります。
したがって、容赦はできない。
 
問題は、ここで終われば小嶋千鶴子刀自について行こうと慕う者は多くないでしょう。
 
小嶋千鶴子刀自という人は、不正にはとても厳しい人物です。
しかし、同時に店長には妻子がいる。家族を路頭に迷わすわけにはいかないとも考える。
 
そして、自分の仕事の傍ら、方方に頭を下げまわって、店長の再就職先を自分で見つけてくるのです。

そして、店長には「次はここで頑張りなさい」と励ますのです。
 
 

人を解雇することも、見捨てることも、才能はいらない
才能がいらないことが得意では、真のリーダーになれず

 
 
そして、見る角度を変えれば、一流と呼ばれる人を観察してください。
率直に言えば、善人とは言えない人もいるかも知れない。
しかし、薄情な人を探すこと極めて困難だと分かると思います。
 
私は普段、薄情な料理人は、いかに腕が良くても客がつかないと言い切っています。

料理人だけで無く、美容師や、医療関係者、音楽家、全ての業種に実は当てはまる。そういって過言ではありません。
 
 
 

一流と呼ばれる人間に、薄情はいない 

 
 
これを私が言い切っても外れない理由が分かっているのです。
商人道義塾の哲学編の講義で、この理由を、是非あなた自身が発見してみてください。
 
発見できれば、見えてくるものがあります。
 
なぜ、同じ楽譜で奏でているのに、音色が違うのか。
なぜ、同じレシピで作っていて、味が違うのか。
なぜ、厳しくも、弟子が集まるのか。
 
この理由に、気づくでしょう。
 
 
 

神仏の世界ではなく人間の世界で、人間がリーダーになるということは何か
それは薄情や非情で人の上に立てるほど、人間の世界は甘くないということである
この事実を、実践の中で学ぶことが大事
それが、人間としてリーダーに「なる」ということである

 
 
生まれながらにリーダーの素質をもっている人がいます。しかし、覚醒できなければ、一生下働きで終わることもある。これが、現実です。

だからこそ、自分はリーダーに「なる」という境地が必要になるのです。
 
是非、様々な事象や文献で、私の話が妥当か確認してみてください。

妥当だと分かったなら、是非できることからはじめてください。小さな事でも、はじめようとする志が、あなたの真の実力という財産に必ずなります。そして、この財産は盗まれることがない。
 
 
私が、多くの人達を見て感じることは、管理職の適性のない人は、人のために悩まない。

管理職の適性が有る人は、絶えず人のためを思い悩んでいます。
 
もしあなたが、部下のために日々悩んでいたなら、あなたは立派に管理職を務めている証拠です。
 
 

他方、人心を優先するより、正しい制度構築を行う方が先と考える人もいます。確かに、一概に悪いとは言えません。
 
時として、人は、心を変えようとするとき、精神論を唱え心を変えようとするより、行動を先に変えた方が、心が変わるということがあります。
 
あるいは、社風を変えようと社員に呼びかけるよりも、オフィスの動線を変えたり、掃除や整理整頓のルールを変えたりすることの方が、効果が早いということもあります。

士気を上げようと呼びかけるより、オフィスの光量や、風のながれ、色彩を変える方が早いときもあります。
そして、環境改善からはじめた方が、精神論を唱えるより、心身の負担が軽いということも知っているのです。
 
それ故に、これらを私もしばしば行います。
 
ただし、注意が必要です。
 
先ほど役員研修の話をしましたが、ややもすると制度やルールを作る作業だけで仕事が済んだという錯覚が生じます。
 
「策士策に溺れる」ということが無いよう注意しなければなりません。
 
 
 
 
例えば、試合に強いクラブと、弱いクラブを比較します。
試合の強弱は、一般的には選手の能力差の違いだと思う人が多いです。
 
ところが、よく観察してみると、選手の能力差よりも差が有るものがあります。その差に気付かないため、いつになっても試合に勝てないのです。
 
試合の弱いクラブも練習をしています。なぜ、試合に勝てないのか。
問題は、弱いクラブの練習は、試合に勝つための練習ではなく、練習のための練習が多いのです。
特に、何の役に立つか分からない筋トレなども多い。
 
 
さらに理解を深めて頂くために、身近なものに例を換えましょう。
 
長時間勉強しているのに成績の上がらない子供がいます。殆どの人は頭が良くないからと思う。
しかし、よく観察すると、試験の点数を上げるための勉強をしていないのです。
 
簡単な例を挙げると、ノートはきれいにまとめてある。ところが、まとめる作業で手一杯で時間切れになる。一番必要な理論や答えを記憶すること。即ち、脳に入れる作業時間をとっていないのです。
 
だから何時間も机にむかって勉強しているのに、成績優秀とならないのです。
 
大学のように資料持ち込み可能な試験なら、きれいにまとめたノートは有用かも知れません。
しかし、大学受験までのほとんどのテストは、結局の所、記憶力が問われる試験しかないのです。
 
これらの現象は、決して他人事と笑ってはいられません。

サービス業には、業務のための業務というものが実は多いのです。
 
例えば、サービスカウンター内の業務日報です。
読み返すことのない膨大な情報を、手書きで残す必要性があるのか。
まして、毎回担当者が書く必要があるのか。
 
申し送りの必要性が高いもの。事故を未然に防ぐ必要がある情報だけ残す。
手書きを止め、音声データとして残し、記録が必要なものだけアプリケーションソフトで自動文字化すれば良い。
 
そう決めてしまえば担当者の業務負担は少なくなります。
 
実際、ある大型店のサービスカウンターの前に、何分もまたされたことがありました。

サービスカウンターの中に店員はいます。
ところが、こちらを見向きもしない。何をしているかと言えば、次の担当と引き継ぎをする十六時迄に、業務日報を書き終えるのがルールだというのです。

無論、手を止め接客する人もいるでしょう。
 
しかし、仮に仕事の後に子供の迎えがあり、五分でも遅れると罰金が必要という事情を抱えていたらどうでしょうか。私のことを放置する気持ちはよく分かる。そう思われませんか。
 
決められたことに、真面目な人ほど従順になる。ましてや、日本国内のサービス業で働くパートタイム職員は、店舗売上が自分の給与に反映されるわけではありません。

そのため、良い悪いではなく、現実的にお客さまより、オペレーションが優先されるのは、真面目な人ほど陥りやすいことなのです。
 
だからこそ、サービス業という世界では、指示を出す人間の能力が問われるのです。
 
目的と手段を分けられない管理職の指示は、成果を生みにくいのです。

こうした「人を動かす」という訓練もしていないのが、多くの企業の現状でしょう。
 
 
私が、優秀な管理職だと評価するポイントは、部下に無駄な動きや、無駄な作業を一切させない人物です。
重要な点は、なぜさせないで済ませられるのかということです。
 
 

管理職にとって、指示することより大事なことは、段取り。

 

だから、マネージャーというのです。
ところが、肩書きの意味通り動く人が少ない。それが、今のサービス業の実情ではないでしょうか。
 
そして、大事なのはリーダーになる人にとっての日々の心得とは何か。
それが、次の言葉です。
 
 
 

「人を動かすとは、人の体だけを動かすわけではない」という強い自覚が必須

 
 
水は方円の器に随うという言葉があります。確かに水なら従順に随うかも知れません。水には、心がないからです。
しかし、人には心がある。そして感情がある。一見、従順に随っているように見えて内心は違う。
この世には、いつの時代も面従腹背という現象があります。

これを常に自覚しないから、裸の王様になってしまうのです。
 
 
 

人心掌握ができないリーダーは、同じ地位に長くいられない

 
 
あなたは日頃から、職場、家庭で、人間の輪郭だけでなく、人心を観ようとしていますか?

相手が発する言語よりも先に、相手が発散している雰囲気を感じとっていますか?
 

人間は良くも悪くも、嘘がつける。そして、言葉には重い言葉、軽い言葉というものがあります。特に女性脳は、重い言葉、軽い言葉を瞬時に使い分けて会話をしています。
 
しかし、言葉の音だけでは容易に識別できない。特に男性脳は、女性脳のこうした言葉の遣い方を理解できない。
 
簡単に例えるなら、「私の職場、嫌なことが多いのよ」と妻が発したとします。
夫は妻に良かれと思って「それなら、すぐに辞めれば言い」と答えます。
即座に、妻は「辞めるほどではないわ」となり、夫は「えっ?」となること、しばしばあります。
 
あなたの周りの人達は、いかがでしょうか。
 
深刻な不満の場合も、軽い愚痴の場合も、女性脳は、同じ言語を使う傾向があります。 この感覚が解らず男性脳は、すぐ結論を出してしまうのです。
 
男女では、会話するということの目的が違うのです。
 
女性脳は、共感、同感、同情を先に相手に求める意識が強く。
男性脳は、「それなら、どうする」という結論を急ぐ意識が多い。
 
そのため、深刻な話ほど男女で会話すると、言語自体は通じても、言語に載せている感情を、互いに酌めないのです。
これが、男女間の争いを助長する原因なのです。
 
言葉の遣い方が、男女では非常に差が有ると弊社の精神分析の結果からも感じています。
 
だから言葉だけに頼ってコミュニケーションする人は、人間関係の作り方が下手になるのです。職場内だけでなく、家庭内でも同様です。
 
「夫婦が不和になり話し合いで解決しようとする場合、男女脳差を考慮しないで会話すると、確実に離婚に進む」と、私はセミナーで話すことがあります。その時、背筋が寒くなる様子で聴いている人が、何人もいます。
 
受講者の中には、切羽詰まった人もいて、「どうすれば良いでしょうか?」と尋ねる人もいます。
男女間の話し合いの秘訣を教えると、「もっと早く聴いていれば、離婚しないで済んだ」とおっしゃる人も何人もおられました。
 
厳しい時代だなと思います。
 
だからこそ、改めて人間の勉強をしなければならない時代なのです。
 
 
 

妻の顔色を観察せず、自分は仕事で疲れているからと妻の話を聴かない。
それで良い家庭を作れると、本当に思われますか?
 
 
夫が疲れて帰ってきている姿を観察せず、自分の話を聴いてもらうことばかり熱心になっていませんか?
夫は、どこで疲れをとればいいのですか?
 
 
学校から帰ってきた我が子が満腹のはずがない。それにもかかわらず、食欲がない。でも何も言わないから大丈夫。そう思っていませんか?
育ち盛りの子が食欲がない方が不自然。何も言わないから大丈夫ではなく、言えない事情もあるのです。違うでしょうか?
 
 
子供は、大人と違い上手に息抜きができません。
親が我が子のストレスを軽減しないで、誰が軽減するのでしょうか?
 
 
 
 

 言葉に頼ってばかりで、絆が深まることはない

 

人間という生き物は、言葉が通じるから、心までもが通じるわけではないのです。
 
思いやりがあるから、温かな空間が生まれる。家庭も職場も同じであります。
 
是非、この機会に改めて感じてみてはいかがでしょうか。
 
 
最後になりました。
改めて申します。
 
今、多くのサービス業の会社が直面している課題とは、大企業ほどここ数十年の間に、無意識に左脳型の管理職だけになってしまったという現象です。
 
左脳型タイプの管理職を育成するプログラムだけでは片手落ちになるという現実を自覚するときがきました。
 
組織は構成員のバランスが大事です。それが、自然であります。
サービス業ほど、右脳型タイプの管理職を育てるプログラムも必要になっている時代です。
 
 
そして、サービス業の未来を創る人達へ、お話したいことは、人間を深く学ぶことで商売が成功する。これだけでは済まない、さらに良いことがあることを知って頂きたいのです。
 
これが私が最も、あなたに伝えたい事です。
 
人は、他者から必要とされて生きる活力が生まれ、他者から感謝されることで生きる喜びが生まれます。
この喜びこそ、生まれてきてよかったという真の実感になります。
 
職業人としてプロフェッショナルになるということは、お金をもらいながら、この素晴らしい体験ができるということです。
 
さらに詳しいお話は、哲学編の「サービス業従事者冥利とは何か。人を助けて我が身助かるの本意」からはじまる講義内容で語ります。是非、受講してみてください。
サービス業従事者としての視野が広がり、自分の家族に対しても接し方が良く変わられるようになるはずです。
 
 
 
 
どうぞ、この素晴らしい世界を謳歌してください。
 
あなたが、益々幸せになるよう心より祈願致します。
 
 
 
第二部の講演を、以上で終わります。
 
最後まで、ご覧頂きありがとうございました。