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【特別講演】お客さまへの感謝の念を体現させる営業戦略について 

【特別講演】お客さまへの感謝の念を体現させる営業戦略について

 

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プロローグ

 

新型コロナウイルスが終息後、今度は実店舗の商売にとって新たなチャンスが到来する!

 
 
 
私は日頃から様々な場面で、振り子や陰陽に例えてお話しすることが多くあります。
 
この度も新型コロナウイルスの流行が終息すると、今度は、ソーシャルディスタンスやステイホームと言われ、長期間我慢していた反動が生まれます。
 
これが、商売にとって新たなチャンスになるのです。
 
そこで、新型コロナウイルス禍の中で、特別講演を行うことに致しました。
今回は、話が長くなりますが、時間が許すときに、何度かに分けてご覧頂ければ良いと思います。
 
Web講演の良いところは、こうした点ではないでしょうか。
 

新型コロナウイルスの流行で、確かに多くの人達は、インターネット通販や外食のデリバリーやテイクアウトの便利さに慣れました。
 
しかし、人間には本能から来る欲求があるのです。この欲求の一つが、人恋しいという感覚です。
 
人間が人間で有る以上、そう簡単には本能的欲求は変えられない。だからこそ、大きな反動が来る。この反動を千載一遇の好機にすれば、インターネット通販に実店舗が勝つための指針が手に入るのです。
 
 
人間は苦しみの最中にいると、視野が狭くなり、何が功を奏すかは、苦しみの最中では分からないことばかりです。

それでも、人間万事塞翁が馬ではありませんが、時機が来れば、苦しんだ経験は有り難いことだったと思うこと、たくさんあります。
 
同じ苦しみや苦労でも、身になる人と、身にならない人に分かれるのは、苦しみの最中を、どのような心の状態で通るかで決まっています。
 
 

いかなる事があっても不平不満だけに陥らずに過ごす。
 
負けそうになっても良心を捨てず、悪魔に魂を売らずに生きる。
 
一瞬の気の迷いで、一生良心の呵責に苦しむことのないよう、何事にも誠心誠意努める。
 
そして、些細なことにも感謝して通る。

 
 
これらができさえすれば、いかなる苦しみや苦労も、必ず身になる。それが、人生です。

人類を導こうとした先人達が共通して見せてきた生き方の真理です。これは、気休めでもきれい事でもない、人の世の事実です。
 
 

聖人や偉人は、安寧の中からは生まれない

 
 
この点にさえ気づけば、艱難辛苦は悪いこととは言えなくなる。そう思われませんか。
 
人間は幸か不幸か、追い詰められたときに己の本性が出る生き物です。
追い詰められなければ大概の人は、善い人として生きられる。
 
だからこそ、普段から追い詰められたときに表れる人格が、自分の本性なんだと覚悟して生きる。
 
そして、その本性を聖なる物にするか、邪悪な物にするかは、自ら選ぶ自由がある。
 
この自由こそ、人間に与えられた本当の自由なのです。
 
言論の自由といって、人の心を傷つける人間がいるのは、自由の真意を知らないから。そう残念に思うことが、インターネットの普及で強く感じる様になった昨今です。
 
勝手気ままに生きることや、我欲を撒き散らして生きることが自由だと思う人は、本当の自由を感じずに逝ってしまうのだろうと。
 
自由とは、心の内底から自然と生まれてくる己の存在意義やアイデンティティーを感じようとするときに現れる感情の一種である。
 
したがって、己の肉体から離れ、他人の生命、健康、自由、財産、権利を抑圧したり剥奪する行為は、自由ではない。
 
これを、親や教師から習わずに成長した人が多くなったのは、社会全体としては、とても悲しいことだと、SNSの普及で感じることが増えました。
 
 
 
2011年の東日本大震災の際も感じました。苦しみが深ければ深いほど、そこから必ず世のため人のためと思う崇高な志を有した人達が生まれてくると。
10年が経ち、そうした方々が現れはじめているようです。
 
新型コロナウイルスの流行が世界中で蔓延している状況で、多くの方々が苦しみの中にいます。
人間、本当に苦しい時は、涙すらでない。そして空気が重いと感じる。
 
しかし、苦しみだけでは終わらない。それもまた人生。
必ずや新たな光明を得ることになると、確信しております。
 
そして何より、今お越しのあなたが得られますよう、心より祈願しはじめさせて頂きます。
 
本日は、宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
 

講演開始

 

それでは、特別講演をはじめましょう。
 
 
トップページで、「センスの無い店長や管理職は、お客さまへの感謝を忘れず仕事をしてくださいと、業務命令であったり、懇願という形で店員各位に促す」と言いましたが、ここでの重要点は、なぜ、これがセンスが無い人だと言えるのかです。

この点を、先ずあなたに考えて頂きたいのです。
 
なぜなら、実際の現場では、常勤社員だけでなく、はじめてアルバイトに来る学生でも、30代、40代のベテランパートタイム職員の方々でも、全員が、何も習わずとも「お客さまへの感謝は大事」、「お客さまあっての商売だ」と、既に知っているのです。

あなたの周りでも、同じではないでしょうか。
 

そこで問題は、「知っていて、できない」。あるいは、「知っていても、やらない」という現実です。
 
「人間は、理解していても行動できないことがある」という人間の行動様式を指示する側が分かっていない。これが、問題なのです。
 
「頭で理解している」イコール「行動できる」と、単純にはならない現実を、先に計算に入れて指導や業務ルールの策定を実施していないから、年々おかしなことになっていくのです。


この現象、実際あった例でお話ししようと思います。

私が駆け出しの頃の話です。

ある大型店舗に接客研修を実施しました。
私の書いた心のサービスというテキストを読みつつ、むせび泣きながらご覧になる人、シクシクと泣かれる人が研修時間に何人もおられました。
 
本社から見学に来られた担当者は、参加者が涙を流す研修を見たのは、はじめてだと評価してくださいました。

私自身、参加者の心に大事なものが入ったと自負して研修終了となりました。

ところが研修では、ほとんどの人達が研修内容に納得し共感していたことが、いざ店舗に戻ると「前と同じ」。

それでも個々人では、多少の変化があるものの、店舗全体では何の変化も生じ無いという状況だったのです。

他社では、成功していた研修プログラムが、なぜこの大型店では通用しなかったのか。

この経験が、私のその後のやり方を一変させる経緯になりました。
 
現在は、この大型店で集団行動が変化しなかった原因の分析が終わっています。
そして、研修プログラムの効果が生じなかった原因は、既に判明しています。
 

結論から言えば、いかに感動的な研修を実施しようが、現場には現場特有の見えざる力があり、この見えざる力が、従業員の日々の行動を支配しているということです。
 
この見えざる力よりも、強いことをしない限り、従業員の行動は変化しないという現象があるのです。

この現象を考慮して、社内研修や人事戦略を実施している会社が、大企業ほど少ないことも分かっています。
 
これが、小売業をはじめ、多くのサービス業の大企業が、売上低下を含め、顧客満足の領域で苦戦をしている原因なのです。
 
もし、あなたが人事担当や教育担当なら、さらに怖い話を付け加えましょう。
現状、大企業になれば社員教育プログラムが豊富にあります。

その中には、受講さえすれば、人事考課に影響しないものも含まれるようになっています。
その結果、大企業ほど、研修は参加さえすれば許されるという暗黙知ができあがっています。
 
そのため、私から見ると研修に慣れすぎていると感じる社員が多いのです。
したがって、無意識に聞き流しという状況も生じていると感じています。
 
非常に憂慮されることは、本当に実務に必要なプログラムでも、受講者の潜在意識が本気にならなくなっているのです。

豊富にありすぎる研修プログラムがかえって、行動変容が生じ無くなる可能性を高めてしまっているのです。
 
人間は、習慣に支配されています。そして、習慣は潜在意識の働きに大きく影響しているとみています。そのため、行動変容させるためには、潜在意識の書き換えが必要になるのですが、この書き換えが容易では無い。このため、人間は良くない事と知っていても悪習慣を、簡単に変えられないのです。
 
またそれだけに留まらず、社内研修が、研修のための研修となってしまい。実践的ではないものも、たくさんあります。これが、非常に厄介だと気づいている人は少ないのです。
 
 
学生の運動部を例にしましょう。
 
毎日毎日熱心に練習しているにも関わらず、試合に弱い部活が有ります。

練習のための練習という状態が続いているため、試合に勝てないのです。
そして、非常に残念なことは、試合に勝てない本質的な原因に気づかず、ただ肉体を苦しめ、自分達には才能が無いと卑下するだけで、学生時代が終わってしまうのです。
 
残念と言う理由は、「試合に勝てない原因は、自分に才能が無いから」と誤解して終わるからです。試合に勝てない原因は、才能ではなく、やり方に問題があっただけなのです。
 
話が長くなるといけないのですが簡単に例をいくつか出しましょう。
 
試合の弱いバレーボール部のレシーブ練習は、アタックされたボールを手にあてるだけに一生懸命になります。何度も何度も繰り返し強いアタックを手にあてるだけ。
 
ところが、バレーボールは、セッターに返すことができないと点数はとれません。
 
しかも、セッターに山なりでゆっくり返すのと、鋭角に素早く返すのでは、点の取れる確率は大きく変わります。
 
試合に強いバレーボール部は、勝つためにどうすれば良いかを踏まえて、基本練習をしているのです。
 
試合に弱いサッカー部のシュート練習は、転がってきたボールを強く蹴ることだけに一生懸命になっています。

しかし、実際の試合ではフリーでシュートすることも、相手キーパーがいないこともありません。
試合に強いサッカー部のシュート練習は、強く蹴ることより、蹴るコースを意識して練習しますし、敵がいることを想定したシュート練習をしています。
 
試合に弱い野球部の守備練習は、単純なノックが多く連動性がありません。またバッティング練習も、ボールを横から投げるトスバッティングが多い。

しかし、実際の試合では、ボールを取った後の動作が、いくつもありますし、ボールも横からではなく、正面からピッチャーは投げてきます。
 
動体視力の訓練と体軸の訓練こそ、打率を上げることに必要だと感じている私は、横から投げるトスバッティングは、動体視力にも影響せず、体軸もずれるのに、なぜ行うのか。実に不思議な練習だと昔から感じています。
 
運動部に共通する練習で私が残念だと感じる点は、その種目に関係無い筋肉を大きくしようとする筋トレです。

筋肉は確かにパワーの源ではありますが、可動域を狭める原因にもなります。それに筋肉は重い。余計な体重アップは、怪我の原因にもなっていると思うのです。
 
サービス業の企業も、学生の部活と同じことが、自社自店に起きていないか。
今一度、深く見直すときが来ています。
 
私が店頭で観察していると、サービス業ほど、仕事のための仕事と思う業務が多く、売上や評判に繋がらないことに、一生懸命になっていることが多いのです。
 
改めて、自社で実施する研修プログラムが費用対効果に見合っているのか。

本当に売上に繋がる研修内容なのか?

あるいは、社員の物心両面に役立つものか?

権威だけを求め、自己満足の世界で終わるものになっていないか?
 
改めて考え直さないと、社員教育が無用な苦役になる状況になっています。
 

今度は商売の現場で実際にある例を挙げましょう。
研修のための研修というものがあります。
 
接客研修を実施する際を例にしましょう。

マナー研修と接遇研修、これらを混同している会社が、非常に多いです。
マナーさえ良ければ、売上に繋がるという錯覚です。
 
研修のための研修といわれる部分は、正しい敬語等の言葉遣いや、お辞儀の仕方、誘導の仕方等、立ち居振る舞いの訓練。いわゆる、美しさだけに主眼置いて研修を終えることです。
 
これらを、研修のための研修と言って過言ではありません。
なぜなら、本当に必要なノウハウは、美しさだけではないからです。
 
このような話をすると驚く人が多いでしょう。正しい敬語や美しい立ち居振る舞いの訓練だけでは駄目なのかと、疑問に感じますか?
 
結論から言えば、接客は美しいだけでは話にならない。それが、現実です。
では、この理由を、あなたも一緒に考えてください。
 
ぶっきらぼうで、乱暴な言葉を使う八百屋さんでも人気な店があります。
どうして存在していると思いますか?
 
念のために付け加えると、ぶっきらぼうで、乱暴な言葉でも良いと言っているわけではありません。

考えて頂きたいのは、商売では何が大事かという本質的な部分です。
では、例の出し方を変えましょう。
 
言葉遣いは丁寧で、立ち居振る舞いも良く、商品説明も正しい。
「でも、この人何となく冷たく感じる、好きになれない」と思う店員に会ったことないでしょうか?
 
マナー研修だけでは実践的ではないという理由が、ここにあるのです。
 
実践的な接客研修というのは、どうすればお客さまに、自分や自店を好印象で記憶して貰えるのか。

これを、踏まえた立ち居振る舞いなのです。
言葉遣いは悪くても、お客さまに親切だと思われる話し方の方が、売上には繋がるのです。
 
 
どういう言葉から話し始めれば、目前で激高しているクレーム客を、仏顔にかえられるのか。

こうしたことが、マナー訓練より、遥かに実践的な訓練なのです。
 
実践的な訓練をしていないために、クレーム客に対して詫びるだけ、返金するだけで終わっているのです。

そして、何より悲しいことは、クレーム客の応対ノウハウが無い人達は、返金で解決できないと、警察や弁護士の力を借りないと収拾がつかない。
 
これは、店員に問題があるのではなく、管理職の意識に問題があるのです。
 
正しいノウハウを分けなければできない人がいるのは、ごく自然なのです。そう思われませんか?
 
接客ノウハウがない人に、お客さま応対させるということは、どういうことか。
 
それは、野球をテレビでしか見たことのない人に、ルールを知っていれば大丈夫と、いきなり試合に出すようなことなのです。
 
それだけ、酷いことをさせている店が圧倒的に多い。この事実になぜ気づかないのか。あなたも、疑問に感じませんか?
 

社員研修だけではありません。
 
これからは業務や、システム構築等を決めるときも、本質を踏まえることが必要になっています。
 
例えば、対面接客を一度も行ったことの無い技術者が作った接客ロボットは、実践的には役に立ちません。
 
あるいは、最新鋭の人工知能で接客すると謳っても、入り口にモニターを置くだけ。

ショッピングカートに専用端末を載せて、キャッシュレス販売を行う。一見便利のように見えます。
 
これらは、率直に申して接客経験のない技術者ならではのアイデアです。

多くのお客さまは、便利だと気づく前に、存在すら気づかない。これが、現実です。
 
技術者を馬鹿にするつもりは、毛頭ありませんが、技術者が陥る落とし穴を知らずに、ベンダーの言うなりに店頭に置く時代では、もうありません。
 
技術者の陥る落とし穴とは、「技術者は自分達が開発した物は他にない。だから売れる」という自負がある。実はこれが、落とし穴になるのです。
 
なぜなら現実は、そう簡単ではないからです。これに気づかないから、落とし穴になるのです。
 
人間の世界では、開発生産より販売の方が遙かに難易度が高い。
この現実を知らずにいる技術者が、実は多いのです。

この話をすると怒る技術者がいますが、脱サラして自営すれば、半年も経たないうちに、私の話すことが正しかったと分かるでしょう。
 
 
その証拠に、一つ実例を出しましょう。
 
次の写真は急勾配でも緑化可能な工法です。開発したのは茨城県のベンチャー企業です。
 
時が経つと二番目写真(下段右側写真)の様に、コンクリートで崖崩れを防止しながら、緑豊かな緑化も同時にできるのです。桜を植えれば桜が咲き誇り、松を植えれば松林になると感じました。

良いところは、景観デザインが、少しでも可能になるという点です。 
 
 


BEFORE:法面工事直後

 

AFTER:法面工事後の緑化状況

 
神奈川県も住宅街に崖がある地域があり、ハザードマップに多数載っています。
 
また、東日本大震災の復興も、この工法を利用すれば、たとえ震災対策だとしても、無味乾燥なコンクリートの壁で景観を損なうことを、最小限にできる。非常に良いアイデアだと、私は思いました。
 
あなたは、どう思われますか?
 
現在、このベンチャー企業は、どうなっていると思いますか? 休業状態です。ご興味有る方は、是非お問い合わせください。

(弊社の紹介手数料なく、ご紹介します。ただし、取り持つ責任として当該ベンチャー企業に紹介して良い企業様かだけ確認させて頂きます)

 
日本の場合、たとえ良いアイデアがあっても、小さい会社は公共事業の入札に参加できず、大手ゼネコンも、実績の無い会社の特許を利用しようとはされません。
 
この現実は、誰が悪いというのではありません。日本には特有のビジネス障壁があるのです。
 
これを「商習慣の壁」と、私は呼んでいます。
 
こうした現実を知らず、自社の製品は、良いものだから、美味しいものだから売れるなどと安易に思っては駄目なのです。
 
良いものでも、美味しいものでも売れずに閉店倒産している会社もたくさんある。私自身も経験しておりますし、良い商材にも関わらず閉店倒産している会社を、いくつも知っています。
 
したがって、開発者や技術者の提案は素直に聞いても、盲目的に鵜呑みにして導入しては危険なことがあるということです。
 
まして、接客経験のない人が開発した接客に便利な道具という触れ込みを、根拠もなく信じては駄目だのです。
  
最新鋭だから導入する。開発者や技術者が良いと言うから使うという判断から、利用する側の都合で判断する。この考えが、デジタル製品には必要になってきました。
 
デジタル製品でも、インターネットサービスでも、所詮は道具です。あくまで道具です。だからこそ、無用なコンプレックスも見直す必要があります。
 
デジタル製品やインタネットサービスが使えないから人間として劣っていることはありません。
したがって、自分はアナログ人間だからと卑下する必要など毛頭無いのです。
 
中高年世代の方々や、ITの専門ではない人達が、デジタル製品やインターネットを上手に使えず、若者に馬鹿にされても、無視して良いのです。
 
なぜなら、パソコンやスマートフォンが使えなくても、人間として劣っていることは何一つない。ただ生活が不便なだけです。ただ、それだけのことです。
 
 
パソコンやスマートフォンが使いこなせ、便利な生活を謳歌しても、人間は、それだけで人格が高まるわけではないからです。若者も、加齢と共に、いつか分かる時が来るのです。
 
最新鋭の道具であれ、旧式の道具であれ、使う側が主導的に選ばなければ、結果的におかしくなる。
これに、サービス業ほど、そろそろ本気で気づかなければなりません。
 
ゴルフをする人なら簡単に分かることですが、トッププロが使用し優勝した最新のクラブだとしても、自分にあっていない物を使えばスコアは伸びない。これは、皆知っていることです。
 
ところが商売の現場では、自店のスタイルを踏まえずに、最新ということだけで導入してしまう。だからこそ、おかしなことが生じているのです。
 
 
例えば、監視カメラに人工知能システムを組み込み、老若男女の来店比率を細かく分析するケースです。

購買予測も人工知能システムが学習すればするほど精度が上がる。確かに便利な道具です。私も担当者なら導入しようと思うかも知れません。
 
但し注意が必要です。
いかに優れたシステムを導入しても、使いこなすのは人間です。使いこなす側にノウハウが無ければ、データーに溺れるだけになります。
 
例えば、人工知能システムが購入判断に困っている客を察知し、離れた店員の端末に接客を促すアラートを鳴らしたとします。

すかさず店員は当該顧客に近寄り、お声がけをします。「何をお探しですか?」と、声がけの瞬間、お客さまはいなくなる。近いうちに、笑えない現実となるでしょう。
 
 

また、余談になりますが、人工知能の恐ろしさを、私は20年以上前から感じています。
 
 

恐ろしい点は、大きく三つあります。
 
一つは、人工知能は、「人間に興味があるわけでは無い」ということです。

例えば、人工知能に地球環境に最も良い方法は何かと尋ねたとします。人工知能が、「人類が地球からいなくなること」だと答えても、計算上はまったく不思議ではありません。
 
これが、人工知能を最も現した喩えだと感じています。
 
 
二つ目は、教師データと言われるインプット情報で、学習結果が変わることです。インプット情報を操作できる可能性がある。
 
したがって、アウトプットを本当に鵜呑みにして良いのか。疑問が残ります。
 
 
三つ目は、人工知能も基はコンピューターです。
しかし、最も通常コンピューターと違う点があります。

コンピューターは、インプットからアウトプットまでの過程が見えます。
しかし、学習し発達した人工知能は、インプットからアウトプットまでの過程が、開発者でもまったく見えなくなるのです。
 
そのため、アウトプットを鵜呑みにして、大きな事故にならないか。非常に怖いと感じます。

この不安を無くすためには、最終的に正しい判断ができる人間が存在する。あるいは人工知能の暴走を制御する人工知能を同時開発しないといけません。
いずれにせよ、甘く見れば大変な状況になると懸念しているのです。
 
人工知能を無条件に信奉する世の流れを、私は非常に危険視しています。
 
人工知能の一つに、ディープラーニングがあります。これは画像解析が得意なシステムです。これにより数年で医療現場は劇的に変化するでしょう。
 
ドイツのシーメンス社【※】のような会社は、既に開発が終わっているかも知れませんが、次世代型MRIに、全世界の過去数十年のレントゲンデーターを学習した人工知能を搭載したとします。そうすれば、骨折の発見どころか、悪性腫瘍の見落としも無くなります。【※シーメンス社 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】
 
見落としが無くなるどころか、治療方法の提案等、医療判断の領域にも入ってくるでしょう。
 
人工知能の医療業界への普及は特に、日本のような社会では顕著になるでしょう。
 
新型コロナウイルスの流行で、医療崩壊とは病床の問題だと多くの方々が思っています。
しかし、実際は医師の立場を守ることができない日本の社会が、医療崩壊を生んでいる。

医師が責任を課されないよう説明せざるを得ない世の中になった。実はこれが原因で、多くの国民が困窮にさらされている。

これは、若いドクターなら私以上に感じているのではないでしょうか。
訴訟を恐れ、言葉を濁しインフォームドコンセントを続けなければならない。
 
この世相をこれ以上、野放しにしていると、近い将来、いかに優秀なドクターでも人工知能の傀儡になる。
医療過誤等の責任を転嫁するために、傀儡にならざるを得ない。そう思います。本当に恐ろしいことだと、私は憂慮しています。
 
 
 
話が脱線すると長くなるので、ここでは特にサービス業で危険だと感じているものを、実例でお話ししようと思います。
 
東京新宿駅西口に人工知能システム付きのカメラを設置したと想像してください。
 
その結果、30代~50代の男性が全体の65%と多い。
そして、男性の約95%が寒色系のジャケットを着ている。

女性の服装は、晴天時は約60%が暖色系の洋服。
雨天時は、晴天時に比べ、暖色系の洋服を着る女性が半分以下に減る。
 
仮に、これらのような状況が分かったとします。

しかし、駅前の特売会場で、寒色系のジャケットや暖色系の女性服が売れるかどうかは、販売力に左右されます。
 
また、人工知能システムが、明日は白のジャケットが売れると警告しても、瞬時に対応できる小売の方が少ないはずです。
 
そこで現状では、惣菜を含め、生鮮食料品の値下げを、どのタイミングで行えば良いか等、実店舗では即時対応できることが限られる。
これが、現状ではないでしょうか。
 
 
他方、
人工知能のカメラは、表向きは少数精鋭で効率的な接客をするためのものと言われています。

しかし、実際現場では防犯効果を感じることの方が多くなる。そうではないでしょうか。

一度でも万引きした人は、人工知能が記憶します。そうなると、いかに変装しても再来店直後、警備室の警報を鳴らすことが可能です。

防犯の名の下に、警察以外が、犯罪者情報を利用できる世の中には、憂慮を感じています。
 
 
無論、念の為補足致しますと、人工知能システムを否定している訳ではありません。
 
例えば、性別年齢だけではなく、歩き方の特徴から購買ニーズが分析できるようにもなるでしょう。
 
あるいは、ポイントカードを利用しているお客さまが来店すると、過去数年の購買履歴を瞬時に人工知能が分析し、店内のデジタルサイネージ(広告表示機器等)に、お客さまの趣味趣向に合わせたものを表示することが容易にできます。
 
詳しい方は、既にあると想像されたかも知れません。
 
既にインターネットサービスで随分前から実施されているリスティング広告(検索語連動型広告表示)や、駅構内に置いてある大型モニター付き自動販売機は、人工知能を利用して、利用者ごとに広告や、商品を個別表示できるようになっています。
 
しかし、私がここで話していることは、今以上に進化した世界の話です。
 
詳しくは話が逸れすぎるので割愛しますが、ライフログというビックデータが現在、スマートフォンの普及で存在するようになってきました。
 
この膨大なデータを人工知能が解析することで、カスタマープロファイリングの精度が急激に進化します。この後の世界を既にイメージして話しています。
 
その結果、単純な人工知能の利用時では、カゴに入っている商品から、今晩の夕食はカレーライスだと分析できる。そして、福神漬けを買い忘れていませんかと、注意喚起を嫌みなく自然にできます。単純な人工知能の利用では、この程度でしょう。
 
それでも、ベテランの販売員しかできなかった接客方法を人工知能が代理で行える可能性はあります。
 
ライフログを解析できる高度化された人工知能システムは、ベテラン販売員でもできないことを、いとも簡単に行うようになります。
 
数年前に、いつどこで何を購入したか。購入後、どの福神漬けをリピートオーダーしたかで、ただ福神漬けを薦めるのではなく、お客さまの好みに合ったものピンポイントで提案できる様になるのです。
 
尚且つ、福神漬けを単純に薦めるだけに限らず、カレーには、食べるラー油等々、お客さまの好みを分析した上で、新たな提案商品を薦める。仮に店舗に福神漬けが欠品していても、売上を落とさない方法を自動で選ぶようになります。これらを、顧客情報から導くことも可能性としては、充分考えられます。
 
あらゆる行動パターンを人工知能は記憶ができます。この点では、ベテラン販売員でも、太刀打ちできなくなるのです。
 
これにより今までは、まったく脈絡が無かった現象を、人工知能が紐付けてくれることで、肉眼観察だけでは分からなかったことを、可視化できる可能性は充分あります。
 
 
例えば近い将来、人工知能の良い利用の仕方としては、買い物を行う当該店のアプリに、自分と家族のアレルギー物質や、処方薬を事前登録しておく。
あるいは、大手小売チェーンの同じグループ会社内の調剤薬局購入履歴とアプリ上で連動をすることを許可しておくとします。
 
そうすれば、同じグループ会社内の薬局以外の小売店で商品を買う際、商品の能書きを読まずにカゴに入れても、安心になります。
食べ合わせで飲食すると危ないものは、カゴに入れた瞬間に注意喚起してくれるようにもできるでしょう。
 
これと同じことを、薬剤師にお願いしようとしても、人間にはできないことだと簡単に分かると思います。
 
 
ただし、便利さと引き換えに怖い利用方法もあります。
 
具体的には割愛しますが、もし赤外線カメラに人工知能を搭載してしまうと、肉眼観察では、絶対に分からない情報収集が秘密裏に可能となってしまいます。
 
誰にでも一つや二つ、体の特徴や洋服の中身を他人に知られたくないことはあります。そのプライバシーに関わる事が、筒抜けになる。恐ろしい時代になってきています。
 
既に赤外線カメラは、主要空港にはテロ防止の理由から配備されていますし、病院のデジタルカルテは、インターネットに上がるようになる。避けて通れない時代ですが、怖いことだと憂慮しています。
 
 
余談ですが、インターネットの仕組みは知れば知るほど、誰が考えたのかと感心するほど、良くできたシステムです。
人間という生き物は、本当に賢いと思える仕組みの一つです。
 
しかし、致命的な弱点がインターネットにはあります。
 
それは、元々インターネットは、悪い人間が利用することを想定して作られていないのです。これが、非常に恐ろしい状況を生んでいるのです。
 
SNSの情報が外国の人が閲覧できたとか、個人情報が抜き取られたとかニュースになりますが、インターネットの仕組みからみれば、驚きはありません。
 
それほど、インターネットの仕組みには、ぜい弱な部分があるのです。
それだけ危険な物を利用しているという自覚は、恐らくこれからも当分の間、必要だと思います。 
 

これ以上のお話は長くなるので割愛しますが、確かに人工知能は良い使い方も多くできるのも事実です。
 
ただし、あくまで人工知能システムはコンピューターの延長であるため、入力情報が無ければ計算できません。
 
ここが、サービス業が忘れてはならない人工知能の弱点なのです。
 
 
 

サービス業が忘れてはならない人工知能の弱点

 
 

 
 
 
 
それは、来店しない未知のお客さまを分析することが店内の人工知能はできません。
そこで、未知のお客様を知るためには、他のシステムとの連動が必要になります。
しかし、プライバシーに関わる事になり、様々な規制ともぶつかって行く時代になると思われます。
 
入店客をいかに詳細分析しても、あくまで店内の行動分析にしかならない。
言い換えれば、パイの分析しかできないのです。

マーケティングの観点で言えば、いわゆる限定的で且つ、既に存在している市場分析に留まるということです。
 
もっと分かりやすく言えば、開店後一定の成長を遂げた店舗が、今まで以上に成長しようと考えた場合です。
 
この場合、自店を嫌う人達、自店に興味を抱かない人達の行動分析ができないと、顧客数を増やすことはできません。ところが、そうした人達は、来店する頻度がほとんどないため、どうすれば来店してくれるかの判断は、別の方法が絶えず必要になる。
これは、人工知能がなかった昔の世界と同様だということです。
 
私は、何を言いたいのか。人工知能システムを導入すれば売上があがると短絡的に考えるのは危険だということです。
 
既に来店している顧客の行動分析をいかに詳細に分析でき、売上アップになったとしても、それは客単価が上がっただけで、市場が拡大したわけではないということです。この現実を忘れては、非常に危険だと言うことです。
 
特に危険だと付け加えたいのは、人工知能システムに依存すればするほど、サービス業で働く人達の接客能力は退化していくだろうと見ているからです。
 
冒頭で話したように、振り子や陰陽で例えるのは、あらゆる現象には反作用があったり、良い物でも副作用があったりするからです。
 
これらを、先に、あるいは同時に考慮する意識が無いと、大きなものを失いかねない。そして、失ってからでは、取り返すこと簡単ではない。
これが現実です。

そう思われませんか?
 
医療の世界でも、医療過誤を人工知能の解析の所為にできるようになると、一見ドクターの負担は減るように思えるでしょう。
ところが、そうなると今度は、ドクターたらしめている尊厳が問われるようになる。これは、ドクターにとって決して良いことではないはずです。
 
サービス業も、売上低下や、来店者数低下を経済動向だけでなく、人工知能の所為にまでできるようになると、店頭の人達のコミュニケーション能力は退化に向かっていきます。
 
人が人と接することに弱くなった結果、社員の物心両面の幸福を実現できるのか。

サービス業の経営層は、新たな課題を突きつけられている時代です。
 
だからこそ、いかなる最新鋭の機器でも、道具は使う側主導で、自社の哲学と商売の目的に合ったものを導入する。このことを、本気で考えないといけない時代になっているのです。

道具は使う側主導で導入するということを、本気で考えていない。それを、最も象徴しているものが、セルフレジです。
 
日本国内にあるセルフレジは、接客経験のない技術者が、効率と便利さだけを追求し、設計している機械と感じます。
今のセルフレジは、確かに便利で、効率は良い。
しかし、それしか武器がない。
 
重要な点は、セルフレジには致命的な問題があることです。

このことを覚悟して使用しているのか。私から見れば、疑問に感じることが多いです。
 
セルフレジは、確かに効率的です。買い物数が少ないお客さまにとっては、レジに列ばずに済み、非常に便利です。

しかしそれでは、買い物客は欲しいものを手に入れるだけしか、心が留まらなくなる。
 
言い換えれば、せっかく実店舗に来店しているのにも関わらず、「買う行為」ではなく、「買った物」にしか記憶が残らなくなるのです。
 
したがって、欲しいものさえ手に入れば、どこの店でも良いと言う印象付けになっているのです。

この結果、便利さや効率さだけを追求した小売は、結局のところ価格競争から脱却できなくなる。自ら無意識に厳しい状況に追い込む事になるのです。
これが、致命的な問題と感じる点です。
 
 

 買い物とは、何か?

 
 
買い物には、大きく二つの要素があります。それを、改めて感じてみてください。
 
 
 

 
 
 
 
 
 

一つ目は、単純に欲しい商品を手に入れること。

 
 

二つ目は、買う行為を楽しむこと。


物を手に入れた喜びよりも、「買う行為自体」に強く喜びを感じることが、人間にはあるのです。

その証拠に、買って帰っても、家のタンスや本棚で眠っているということがありませんか。買う自分に酔う。これもまた、買い物の良さなのです。
 
 
セルフレジでは、一つ目しか、お客さまに提供できないのです。
 
無論、買う行為はセルフレジでもあるではないかと思う人もいるでしょう。
しかし、店の印象付けということに主眼を置くと、セルフレジは、実に勿体ないことになるのです。
 
 
 

店のブランディングは、買う行為を楽しむ中にこそある!

 
 
店のブランディングに関わることは、二つ目の「買う行為を楽しむ」中で行われることが、圧倒的に多い。この「買う行為」をお客さまに楽しんで頂く中の一つに、接客があるのです。
 
昭和の時代は、小売業はセルフサービスでも良かった。
しかし、インターネット通販が生まれている令和の時代の実店舗では、セルフサービス中心では息の根が止まる。そういう時代になりました。
 
それを百貨店の苦戦が証明しています。百貨店も現在、店頭販売は苦戦しています。
しかし、外商は手応えが違うはずなのです。
 
無論、だからと言って、ノウハウの無い者が、積極的にお客さまに話しかけたところで、商品は売れません。

また、スーパーマーケットのように少数精鋭で営業しないと経営が成り立たなくなってしまっているビジネスモデルでは、接客人員を増やすなどと言うことも現実的ではありません。
 
だからこそ、数少ないお客さまとの接点である、レジ、サービスカウンター、客注等の問い合わせ、これらわずかなお客さまとの接触チャンスを、1件でも無駄にしては勿体ないのです。
 
接客とは、自店や自分の記憶をお客さまに良い記憶として残して頂くことがゴールなのです。
 
したがって、良い記憶が残らない対応は、接客とは言わない。
それが分かるようになるよう、私が観察している眼差しの一つを、あなたにお分けしましょう。
 
あなたが行ける最寄りの店で構いません。
何台もレジが列んでいる大型スーパーマーケットにいって見てください。
そして、レジ精算が終わり、お客さまがカゴを持ってサッカー台に向かうために、「振り向く瞬間の顔つき」を、観察してください。
 
良いレジ担当者が、どういう人を言うのか。
振り向きざまのお客さまの人相が教えてくれます。
 
カゴの商品をスキャンして、金銭の授受をするわずかな時間だけでも、人間は相手が良い人か、瞬時に感じとるのです。そして、それが無意識に表情に表れる。

この無意識の表情が、店の評判や再来店率に関わっているのです。
では、どういう表情なら良いのか。それは、あなた自身が感じながら見つけてください。
これも大事な訓練です。
 
 
 

良い店か悪い店かを何で見分けるのか?

 
 
訓練を行いやすくするために、一つヒントを出しましょう。売上の良いお店と、悪いお店で、レジを終えたお客さまの人相を比較してみてください。比較することで、私が今言っていることを気づきやすくなります。
 
どういう人相が、良いのか。具体的に教えないと、不安になりますか? 
心配には及びません。誰にでも本能があります。
 
 
100人も観察すれば、どういうレジ応対なら店の評判を上げられるか。段々と分かってきます。この理屈ではなく、感覚で分かるようになるというのが、最も大事な訓練になるのです。だからこそ、私は答えを言わないのです。
 
お客さまの評判を上げられるレジ応対という答えが見つかった会社は、社内接客コンクールなど必要なくなります。そして、新人研修に何を伝えるべきかも明確に分かるようになる。これが大事なことなのです。
 

少し話が長くなりますが、「接客の本質を見つける」という点の理解を深めるために、違う例を出しましょう。
 
今度は、機器ではなく、業務に関しての例です。
 
スマートフォンを殆どの人が携帯して来店する時代に、1箇所に集まったサービスカウンターなど必要ない時代です。そう思われませんか?
 
ましてインフォメーション担当を、カウンターに常駐させておくことは、実に勿体ないことです。

コスプレし、店中を歩き回って貰った方が、よっぽど子供達も喜ぶ。また、店中を動き回ることが負担になる高齢者にも喜ばれる様になります。
 
このような話をすると、必ず出る話が、「誰かがいないと困る」という昭和時代のような台詞です。

多くの人がTV会議で分かったように、担当者がそこに居ないと対応できないという時代では、もうありません。
 
それこそ、商品やサービスがどこにあるのか。担当者の眼前の端末で検索できれば、北海道旭川の店舗にお越しのお客さまに、鹿児島の店舗スタッフがTV電話で商品案内をしても、事足りる時代が来ているのです。
 
これからは、従来の延長で自社自店の接客スタイルを考えているようでは、直ぐ様行き詰まります。
 
だからといって、開発ベンダーが持ってくるものを、そのまま導入しているようなスタイルでは、益々インターネット通販に勝てなくなる。厳しい現実があるのです。
 
そこで、見本となるのが、アップルやNVIDIA(エヌビディア)に代表されるファブレスというスタイルを取る会社です。【link:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】
 
ご存じない人も多いかも知れませんが、NVIDIA(エヌビディア)は、パソコンでゲームをする人なら知らない人はいない。その世界では非常に有名な会社です。
 
余談になりますが、NVIDIAという会社、人工知能が普及する世界では、益々大きくなるだろうと私は想像しています。なぜなら、NVIDIAが作る製品は、画像解析を行う人工知能には、打って付けの製品だからです。
 
アップルやNVIDIAが凄いところは、世界的なメーカーでありながら自社工場を持たないところです。これがファブレスというスタイルです。
 
私は何を言いたいのか。それは、自社に生産拠点がないから新しいものが作れないという時代ではないのです。
 
この点を改めて、百貨店やGMSが気づけば、開発ベンダーが持ってくるものではなく、自分達が欲しい機能、使いたい道具を自ら社内で設計し、メーカーに作ってもらえば良いのです。
 
昭和の時代では考えもつかなかったことが、今はできるのです。

確かに、生産コストはオーダーになる分、高くなると言う人がいるでしょう。
しかし、商売は部分コストより、トータルコストで考えることが大事。そうでは、ないでしょうか?
 
商売全体を俯瞰して見れば、ブランディングにも売上にも貢献しない機器を使っている方が、機会損失は大きい。そう思われませんか?
 
商品知識だけの接客や、POP広告等の間接接客の領域だけでは、実店舗は、益々インターネット通販に勝てなくなります。

実店舗しか得られないもの。これを、訴求することしか生き残る方法はありません。
 
これこそが、「情を利用する戦略」なのです。換言すれば、「本能を利用する戦略」です。
 
私が常々、非常に残念だと思うことは、店舗デザインや商品パッケージデザインは深く吟味し、洗練したものを創り出している店がある一方で、店員のコミュニケーションはいつまで経ってもデザインしない。旧態依然のまま。実に勿体ない。店員の態度の方が、お客さまの無意識の記憶には強く残るのにも関わらずです。
 
 
因みに私の仕事は、日本ではまだ無いかも知れませんが、STCMのコンサルティングなのです。
 
STCMとは、Strategic communication.の頭文字で、日本語にすると「戦略的コミュニケーション」となり、各企業風土やビジネスコンセプトに合わせて人の動きやスクリプト(台詞)をデザインする。これが、弊社の業務です。
 
店員とお客さまとのコミュニケーションを単なる意思伝達だけで終わりにするのではなく、お客さまの記憶に何が残るのかに主眼を置いて、すべてのコミュニケーションを考えるということです。

これを自社自店のブランディングを踏まえた、戦略的コミュニケーションと言っています。
これにより、戦略という言葉を使っているのです。
 
現在の日本では時代の変化と共に社内研修だけで、社員の行動変容を促すことが難しくなりました。新人研修も同様です。この原因や理由については、大変長くなるので、ここでは割愛します。
 
社内研修だけで、社員の行動変容を促すこと、特にサービス業は、製造業よりも難しくなったと実感しています。
 
勿論、社内研修が無駄とは言いませんが、投資対効果に見合うようにと考えると、研修費、それに伴う諸経費より、最初から行動パターンをデザインしてしまった方が、コスト的にも、従業員の負担も少なくて済むことが分かっています。
 
水は方円の器に随うというやり方を、最初から業務ルールに組み込んでしまうのです。
 
研修で社員各位の行動を変えることは、先ず精神を変え、その後、行動を変えるという順番になります。
しかし、最初に話したように、人間は頭で分かっただけでは、首から下の体は動きません。

習慣を変えることは、非常に脳に負荷がかかる。そして、時間もかかるのです。

無論、精神を変え、行動を変える方が理想的ではあります。

特に経営者候補、指導者候補は、精神論が先にたたないと、必ず難局で魂を売るようになる。そのため、指導者候補各位へは、人生観の支え、判断の軸となる精神論教育は、未来永劫必要と思っています。
 
しかし、非常勤勤務を含めた社員全体の集団行動を変えたいときは、個人の行動を変えるようなやり方では、通用しないことが多いのです。
 
そのため、デザインしてしまった方が良いという考えになって行きました。私の仕事は、当初は、ホスピタリティ専門コンサルティングだったのです。
しかし、様々な経験を積む中で、アドバイスだけでは行動変容は難しいと分かりました。
 
そこで、強制的に先ず実行して頂き、OJTで私が言うことが正しいかを体験して頂いた方が早い。そして、心身の負担も少ないと分かったのです。
 
それが、STCMのデザイン(Strategic communication design.)なのです。
 
ただし、商人道義塾哲学編と実践編を学んで頂ければ分かりますが、私が行うSTCMのデザインは、単なる立ち居振る舞いや言葉遣いのデザインではありません。心根もデザインの一部になっていると言うことです。
 
種明かしすると、心根までデザインできないと、あらゆる事は成功しません。
 
簡単に例を出します。宇宙には慣性の法則があるように、この世には物体の運動法則があります。

例えば、時速60キロメートルで走るスポーツカーも軽自動車も、一時間後は同じ60キロメートルのところにいます。
 
スポーツカーの方が性能は軽自動車より圧倒的に優れています。それでも、同じ速度なら、到達時刻は同じになる。機械であれば、実施条件が同じなら結果も同じ。これは、簡単に誰にでも理解出来ることです。
 
ところが、人間はどうでしょうか?
 
ホームランバッターのスイングを完璧に真似てもホームランは打てません。
 
大谷翔平選手【link:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】と同じホームで、同じ手の振りでボールを投げたとしても、スプリットと言われる高速で落ちるボールは投げられません。なぜなら、体の中で動かしている心の動きが違うからです。
 
人間は、体を動かすとき、必ず動かす元である心が先に動きます。
この心の動かし方で結果が変わると言うことを自覚すること、今の時代は少ないのかも知れません。
 
様々な人と出会うと精神論を、価値観や認識の世界と混同している人が多いように感じています。そのため、考え方さえ変えれば、人生が変わると思って学んでいます。
 
ところが、考えが変わるだけでは、人生は変わらない。
先人達は、この理由を知っているので、荒行を思いついたのです。
 
ただ荒行の本意を知らなければ、何も行っても肉体を責めるだけで終わる。実に残念なことです。
 
本当の精神論は、心の動かし方や、心の反射に関わる領域なのです。
ここに少しでも気づかないと、実技の世界では達人にはなれません。
 
 
実技の世界は、体を動かす前の一瞬の心の動かし方が大事です。
同じことが、商売でも言えます。
 
新型コロナウイルスの流行の中、蔓延防止のため、お釣りはトレイに置きますと言って、釣り銭トレイにレシートと共に小銭を置く店がほとんどです。
 
ところが、「非常に恐ろしいことをしている」と、自覚している店は少ないです。
 
置くという動作は皆同じでも、レジ担当者の心根の違いで、受け取ったお客さまは異なる記憶が残る。心根におもてなしの情がないと、悪気なくただ置いているだけなのに、お客さまの無意識の記憶は、自分は粗末に扱われているという記憶が残ってしまうのです。
 
無意識の記憶に残る悪い印象が、必ずコロナウイルスの流行が終わった後に問われることになる。だからこそ、心根が大事なのです。
 
これを教えて指導しないと、立ち居振る舞いが美しくても店舗評判は上がりません。これが私のSTCMデザインなのです。
 
心の動かし方の訓練方法も教える事ができる私が、STCMデザインを考えるところにユニークさがあるのかも知れません。
 
 

お客さまの情を借りるとは何か? 

 
 
話が逸れましたので、話を戻しましょう。
 
ここで今私が言う「情を利用する」とは、最近良く言われている「体験型店舗にすること」ではありません。

単なる体験ではなく、より深く踏み込んだものです。
 
それは、人は何かに感情移入することで生じる人間特有の心の力があります。この力を借りて商売するということです。
 
この感覚は、言葉で説明すると想像しにくいので、保険外交員を例にしましょう。
 
保険もインターネット通販で取引できる時代です。
その中で、営業成績が落ちない保険外交員がいます。
 
この保険外交員から保険を契約するお客さま自身も、インターネット通販があることは知っています。
 
ましてやインターネット通販の方が安く加入できることも知っているのです。
では、なぜこの保険外交員は営業成績が落ちないのでしょうか。
 
 

保険外交員から購入すれば、インターネット通販より割高になることを承知している。
それでも、決まった保険外交員から保険を買うお客さまがいる。

 
 
それは、なぜか。

お客さまは、この保険外交員に信頼と愛着があるからです。
お客さまの中には、既に困った時に助けてくれたという恩義を感じている人もいるのです。
 
この保険外交員が営業成績が落ちないのは、お客さまの感情移入という心の働きを借りて商売しているのです。
だからこそ、インターネット通販に負けないのです。
 
 
 

インターネット通販に負けないセールスマンがもつノウハウこそ、実店舗の光明!

 
 

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見過ごせない点は、「インターネット通販の方が便利で、安価なのに負けない」
この現象こそ、次代の実店舗経営に必要な答えなのです。
 
だからこそ、あなたが実店舗の経営や運営に関わっているなら、改めて深く感じて頂きたいのです。

本能を味方にすることは、対お客様だけに留まりません。
 
 
 

従業員の情の力を借りて闘う人事戦略

 

従業員各位に対しても同様です。
働く人達の情の力をお借りするというのも、人事戦略として非常に重要になっている時代です。
 
働く人達に関する人事戦略は、別の機会にお話しします。ここでは長くなるので割愛しましょう。

それでは、改めて今回の「お客さまへの感謝の念を体現させる営業戦略」という本題に戻しましょう。
 
 
社員各位に限らず、人間が行動変容する条件は、大きく二つあります。
 
 

主体性が発動される時。

 


もう一つは、生命の危機を感じる時。

 
 
この二つのいずれかを刺激する研修をしない限り、変わらないのです。
ところが、刺激をするだけでも変わらないことがある。それが先にも言った、「現場特有の見えざる力があり、その見えざる力よりも強いことをしない限り、店は変化しない現象」なのです。
 
現場特有の見えざる力は、従業員の男女比率でも力の生じ方が違います。
 
特に、パートタイム職員を含め女性の従業員が多い現場は、この見えざる力を甘く見ると大変な事になります。
しかし、だから女性は駄目だという議論になると、せっかく女性進出が進もうとしている変化の中で逆行してしまいます。

また、無用な女性蔑視を生んでは話になりません。
 
そこで、余計な誤解が生じる恐れを回避したいために、この「見えざる力」の原因と、具体的な現象については詳しく話したいところではあります。
しかし、残念なことに非常に長くなってしまいます。
 
改めて、いずれ子細を説明しなければと思っていますが、ここでは、簡単に「見えざる力」が実際どのように働いているのかだけ、簡単な例を出しましょう。
 
 
実際にある話です。

あるスーパーマーケットに大学生が人生初のアルバイトに来ました。この大学生、実家が商売をしており、幼少の頃から親の姿をみて育ったため、お客さまのために動くことが苦にならない性格でした。人生初のアルバイトということで勇んで入店してきました。
 
このスーパーマーケットは本社の意向もあり、店長は毎回朝礼で「お客さまへの感謝と手厚い接客をお願いします」と言っていました。そのため、当然言葉通りに働けば良いと、この大学生は思っていたのです。
 
勤務して数日が過ぎたところで、この大学生のところに、ベテランのパートタイム職員が来ました。
 
「あなた、お客さまからの評判も良く、頑張っているわね」と、そのベテランパートタイム職員は大学生を褒めました。
 
「ありがとうございます。頑張ります」と大学生は応えました。

「でもね、あそこまでしなくて良いのよ。あなたのようなことをすると、他の人が大変になるから」と笑顔でそのベテランパートタイム職員は大学生に言ったのです。
 
これが、見えざる力を表している最も典型的な事例です。
 
「あそこまでしなくて良いのよ」これは、会社のルールでも店のルールでもありません。

長年働いている人達の暗黙知としてのルール。いわば、その店の空気感なのです。
 
業務命令を出してもなかなか良い方向に変化しない原因は、この空気感の存在を無視しているからなのです。
 
新しい方法にしたくても、上手く行かない原因が、ここにあるのです。
これが、サービス業の現状です。
 
先ほど、社内研修では変化しない時代になったと言いました。

特に私のように外部の人間が研修で言うことを、実行しなくても解雇されないと皆分かっています。

そのため、危機意識を感じる必要がない。だからこそ、余計に潜在意識が動かないのです。
 
さらに怖いことは、「そこまでしなくて良いのよ」という言葉を言う人が、目に見えていれば、改善も簡単かも知れません。
しかし世の中、そうそう甘くない。

皆が黙ったままで、「そこまでしなくて良いのよ」という空気感が店内に漂っているのです。

この空気感が、店の実際のルールになってしまっているのです。
 
この空気感が原因で、社内接客コンクールを毎年行って、優勝者がでる店舗でさえ、優勝者のレベルを水平展開できないということが生じるのです。
 
女性脳は、進化の過程の影響かもしれませんが、共感協調を重んじやすい。裏を返してみると、人より目立つことは、身の危険だと本能が感じるのでしょう。
 
したがって、良くも悪くも自分だけが目立つことを本能的に嫌う傾向が強い。私たち独自の精神分析でも表れていました。
 
そのため、レジが何十台も列んでいる大型スーパーマーケットでも、会計処理時間にあまり差が生まれない。無意識に他人の行動に同調、あるいは協調してしまうという現象が、表面化している一つと見ています。
 
女性の話だけで終わりにすると、だから女性は厄介だという、低レベルの話で終わってしまう恐れがあるので、男性の話も付け加えましょう。
 
男性が多い組織でも「見えざる力」というのはあります。

現在、世の中を苦しめている新型コロナウイルスの流行を例にしましょう。
 
先進国の中では感染者数の少ない日本ですが、連日医療崩壊を危惧するニュースが出ています。
これらの現状の本質的な問題点は、先にも触れたように医師の人達が最も分かっているはずです。
 
特に若いドクターは、このままでは良くない。多くの若いドクターが疑問を持っているはずです。
 
医療崩壊と、すべての病院を一括りに言って良いのか。一部の施設だけが、受け入れに必死というしわ寄せになっているのではないか。真の姿は、必ずしも表面化していない。

こうした内情の問題は、医療従事者の方々しか解らない現実ではないでしょうか。
ところが現状は、そうした問題点をあげる声は一年経過しても出でこない。
なぜなら、声に出せば責任が生じかねないからです。
 
さらに懸念されることは、声を出せば医師会の幹部や、厚生労働省に楯突くように見えてしまう恐れがある。これは絶対に困る。
 
男性脳は社会性の脳と言われます。したがって自分の個人的な考えより、先ず自分が属する組織の考えが優先されやすい。

その上で、人間としての自己防衛本能や自己保存欲求が加わります。こうした中で賢い人ほど先を予測し、自ら率先して危険は冒しません。
分かっていても、知っていても言わない、これも「見えざる力」の一つです。
 
言わないことで事故にならなければ、許されるのかも知れません。
しかし、非常に厄介なのは実際あった、ある会社のように上司が不正をしている場合です。

部下は上司の不正を知っていても止められないという現象があるのです。
この現象を計算に入れずには、危機管理はできません。
 
そこで、これを解決しようと出てくるアイデアが匿名密告制度です。

本社に専門部署を設け、匿名で連絡を入れられるようにする会社もあります。
しかし、これには、非常に強い副作用が生じます。
 
独裁国家のように、国民が国民を監視するというのは、一見すると効率が良い。
しかし、互いに監視し合う関係は、猜疑心を煽り人間関係を悪くします。
 
仁義礼智信という五常がありますが、信がなければ他はすべて成り立たない。それが人の世の現実です。

したがって、猜疑心を先に植え付けてしまうことで、大事なものを失うことが多い。それが、顕著に表れるのが、チームワークでしか生まれない組織全体の士気なのです。
 
ビジネスも商売も団体戦のスポーツ競技と同様に、人間関係の悪いところに良い成果も発展もありません。
 
今、必要なことは、安心して密告できる仕組みではありません。
魔が差さないように仕組みを作ることなのです。
 
哲学編でもお話ししているように、人間は追い込まれて悪人に変わることが多い。だからこそ、追い込まないようにするには、どうすれば良いのか。この点を、先に考える必要があります。
 
不正が起きるときは、同時にバレなければ良い、見つからなければ良いと思う瞬間があるときです。

見つからない状態を無くすには、どうすれば良いのか。

この点を仕組みにすれば、密告制度など無くても済みます。
無論、どんなに良い仕組みを構築しても、犯罪者は生まれます。

これも人の世の現実だと、管理職や指導者は、先に覚悟するのです。この覚悟が上層部にないから、余計な締め付けを社員に課せ、悪気無く業務効率を悪くする原因を作るのです。
 
今サービス業で管理職や経営層になろうとする人は、改めて人間という生き物を深く学び、改めるべきところは改める謙虚さが必要になっているのです。
 
そう思われませんか?
 
 
ここで無用な差別は生みたくないので補足しますと、便宜上、女性と男性と語りましたが、厳密には、女性脳と男性脳という意味で、日頃私は話します。
 
ビジネスでも商売でも、成功には性別は関係ありません。
 
パナソニックを創業した松下幸之助翁【※】や、ソニーを創業した井深大翁、盛田昭夫翁【※】のように男性のビジネス成功者がおられれば、
 
CHANELを創業したココ・シャネル刀自【※】や、ザ・ボディショップを創業したアニータ・ロディック刀自【※】と、ビジネス成功者に女性もおられるわけです。
 
また、多くの方々がGoogleの無料サービスを利用し続けられるのは、シェリル・サンドバーグ氏【※】参照』のように優秀な人がおられた結果です。
【上記※link: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】
 
実際の現実を見て分かるようにビジネス・商売の成功に性別は、関係ありません。
 
ただ見過ごせないのは、成功までのプロセスや生き方、考え方に違いがある。
それは、長い進化の過程で、男女では脳の使い方に違いがあるからと考えています。
 
そのため、男女性差ではなく、ビジネスや商売では脳差が避けて通れない。
この観点が重要だと認識しています。
約20年もの長い間実施してきた私たち独自の精神分析と、様々な情報や文献からの結論です。
 
補足になりますが、LGBTQ【※出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】と思われる人は、自分の脳がどちらの性か、その都度自らの意志で判断して頂いて構いませんと、お話しています。
 
 
 

 

お客さまへの感謝の念を体現させる営業戦略は、何からはじめるのか?

 
 
最後に、あなたには、もう一つ考えて欲しいことがあります。
 
それは、「お客さまへの感謝の念を体現させる営業戦略を実施したい。そのために早急に従業員各位の行動変容が必要だ」と判断した場合、何からはじめれば良いのか。
是非、これを、あなたに考えて頂きたいのです。
 
 
具体的な施策を、私がここで説明しても、会社や店舗によって状況が異なれば、役に立たないことが多くなります。
 
そこで、ヒントを出しますので、そのヒントから考えて自社自店で実行してみてください。
 
先ほど、言ったように、人間が行動変容する条件は、大きく二つです。
 
 

主体性が発動される時。
もう一つは、生命の危機を感じる時です。

 
 
後者は、法人であれば、閉店倒産になる状況に追い込まれる。
あるいは、撤退に追い込まれる。
私人であれば、解雇です。
 
これらの状況になることは、最終手段になりますので、ここでは前者の主体性が発動される時について話します。

これだけでも、問題はありません。どうぞ安心してください。

お客さまへの感謝の念を体現させたい。
あなたの会社は、既に従業員全員がお客さまへの感謝はある。
しかし、行動に表れていないとします。
 
行動を変えるためには、行動を変えるための動機と、動機を維持させるもの。
この二つが必要になります。
 
 
そこで、まず動機です。

お客さまへの感謝をもって手厚いサポートを行ってくださいと懇切丁寧にお願いするだけでは駄目と言いました。
 
最終的な目標は、無意識にお客さまへの感謝の念を体現ができる空気感にすることです。
 
重要な点は、「無意識にできる」これが実践実技の世界では、「できる様になった」ということです。
 
ただし無意識に行動できる様になるためには、人体の特性上、反復訓練が必要になります。

そのため、どうしても一定の期間は必要になります。
したがって、一朝一夕にはできないという覚悟が指導者側に先ず必要になります。
 
覚悟というと大げさに聞こえるかも知れません。
しかし、人間は、人それぞれの成長速度がある生き物です。
 
遅く成長しても、早く成長した人よりレベルが上になるということもあるのです。これを可と考える。指導者にとっては大事な考えの一つです。
 
だからこそ、覚えが悪い。成長が遅い。これらを理由に見捨てては、指導者とは言えないのです。

それでは、動機づけに必要なものを具体的に考える前に、もう少し掘り下げて人を見てください。
 
 
人間という生き物は、自分自身が弱っているときや、心が落ち込んでいるときに、他者のためになりなさいと言ったところで、できません。これは、誰にでも経験があることでしょう。
 
したがって、人が他者のために身を動かすには、弱っている自分や落ち込んでいる自分、あるいは、自己評価が低い状態では、他者のために動くことができないということです。この現実を、指導者は最初から忘れてはならないのです。
 
そこで、商売の現場に置き換えれば、お客さまのために従業員が動いて欲しかったら、最初にすべき事は、従業員の心を勇んだ状態にする必要があります。
勇んだ状態とは、士気が高いということです。

対人応対が必要なサービス業では、特に士気の高低を無視してはいけません。
 
従業員の士気が低い状態で、お客さまのために働くということは、頭で考える以上に至難の業になります。
 
閉店倒産する会社や店は、必ず従業員の士気が低い。
 
それが、バックヤードや共用施設に体現される。
そこを観察すれば、従業員が帰宅し、一人もいない状況でも、店の行く末は簡単に分かるのです。
 
そこで、あなたに最初に考えて頂きたいのは、あなたの周りの人達は、どうすれば士気が上がるのか。言葉を換えれば、何をすれば、人はやる気が上がるのか。

これを考えてください。
 
やる気に関する本質的なものや、時代を超えた普遍的なものは、商人道義塾の哲学編をすべて受けて頂いた後に発見できると思います。是非、発見して頂ければ嬉しいです。
 
 
ここではヒントとして、あなたに質問しますので、あなたが答えたものの中から、是非発見してみてください。
 
あなたの人生を幼少の頃からさかのぼり、あなたが先生と呼んだ人達を思い出してみてください。
 
 

1、竹刀や平手打ちするような体罰で厳しく導いてくれた教師。

 

2、あなたの人格を認め、励ましてくれた教師。

 

いずれの教師の方が、やる気になりましたか。
 
 
1の教師と答えたなら、それでも構いません。さらに詳しく思い出して見てください。
 
体罰そのものではなく、教師の眼差しや言動、所作、暴力以外の部分で、その教師の良さが記憶に残っていませんか。
 
暴力以外の部分で、あなたが良いと感じたものを細かく思い出してください。
何が、あなたの心に響いたのか。
この響いたものこそが、非常に大事になります。
 
 
世の中には、私の考えとは異なり、体罰容認の人が、いまだにいます。
 
体罰容認派の人達の話を良く聞いていると、実は暴力は推奨していないのです。
 
暴力と体罰を分けているのです。問題は、何が違うのか。体罰は暴力とは違うという根拠となっている「正体」、この部分だけが分かれば、体罰など必要無くなります。
 
人は、他人から受けたものの何が自分の心に響くと、行動が変わるのか。
これには、共通の答えがあるはずです。
だからこそ、細かく観察して思い出して欲しいのです。
 
 

2の教師と答えた人は、本能に正直な人だと思います。
 
人間は、自分が絶対無二の存在だと、誰しも本能的に知って生まれてくるのです。
だからこそ、他の誰でもない、私を認め、私だけを見ていてくれるという感触が、この上なく嬉しい生き物なのです。
 
したがって、「何をされれば、人は嬉しいか」という感覚が分かれば、あなたの指導力は益々高まるはずです。
 
人間は、「他者から認められたという実感がもてる」、または「自分の存在価値を実感できる」と、これらが、やる気の素を生むのです。
 
自分が活かされる場所、それが人間にとって自分のいる場所になるのです。そして、自分のいる場所を粗末にしなくなる。これが本能です。
 
では、具体的にどうすれば、仕事が楽しくなり、職場を好むようになるのか。この点を考えるのが、あなたの腕の見せどころということでしょうか。
 
褒めることは、叱るより難しいと私は言っております。

本気で相手の無二の良さを見つけ、良いところを具体的に褒めないと、嫌みになったり、お世辞になったりして、相手の心に響きません。響かないどころか士気が下がる。

また注意が必要なのは、異性を褒めるときです。容姿を安易に褒めるとハラスメントになりかねません。
 
褒める習慣が無い人を見ていると、実に褒め方が危うい。
 
本人は良かれと思って言っていることが、受ける側にはセクシャル・ハラスメントになっていることがあるのです。笑えない現実です。
 
これらの注意を踏まえた上で、本気で相手の良いところを見つける。これこそが、相手の真っ正面に立ち、向き合うということなのです。
 
これができない人は、人の教育をしてはいけない。
なぜなら、教える自分を苦しめるだけになるからです。
自分が、なぜ指導力がないのか。永遠に気付けないからです。
 

やる気の源が分かったら、今度は、人は、いかなるときに他者に感謝するようになるのか。

これを考えてください。

そもそも、肉親であろうが、他人であろうが、人が自分以外の他者に感謝するときは、何らかの恩義を感じていなければなりません。
 
産んでくれた感謝、育ててくれた感謝、自分を指導してくれた感謝、困っていた自分を助けてくれた感謝。これらが多少に関わらず存在しています。
 
そこで、もう一つ重要なのは、自分に感謝してくれた相手に、感謝で返すということが、人間の本能には有るということです。
 
したがって、商売の現場に置き換えれば、お客さまに感謝の念を表すためには、先にお客さまから感謝されるような状況を創ってしまうのです。このような逆説的な方法もあるのです。
 
お客さまから、ありがとうと言われれば、お客さまにありがとうと店員は簡単に言えるようになる。人の本能を利用した方法です。
 
お客さまを大事にしてと言葉で何度言っても、人間は自分の生い立ちで経験したもの以上のことは簡単にはできません。
 
無償の愛を、受けてきた量が違うため、人を大事にするという言葉の解釈には、想像以上に個人差が大きいのです。これも、厳しい現実です。
 
例を換えれば、先祖代々、世話好き、人のために身を動かすのが好きという家系の子と、自分の家族だけ幸せならそれで良いという家系の子では、入社当日から相当な差があるのです。
 
名指しで区別すると人権問題になる可能性があるため、日頃は黙っていますが、私は瞬時に見分けがつくのです。
 
 
ニュースで入社式の映像をみると、今年もこの会社採用基準を間違えておられるなと感じる会社、何社もみます。
 
なぜ分かるのか。それは、一見して、見分けがつく箇所があるのです。塾生にも私と同じ目をもたれれば良いと願っています。
無論、差別を生まないようにしなければなりませんが。
 

そこで「お客さまから、先に感謝を頂くことを考える」これこそが、社員にお客さまへの感謝を忘れずに行動して欲しいと願うよりも、効果的で早いのです。
これが、二番目のヒントです。

そこで今度は、ここで挙げたヒントを利用してアイデアを出す方法を話しましょう。
あなたの会社や店舗で、お客さまから感謝される点があるとすれば、どこでしょうか。

そして、何に対して感謝されるでしょうか。
 
箇条書きで構いません。一覧で書き出してみてください。
 
書き出した物を見ながら、実際の現場を視察します。
 
視察しながら、従業員に口頭でお客さまに感謝の念をもって仕事をするように説明することよりも、お客さまから感謝される状況を意図的に創ってしまうことの方が、効果的で速やかだということを、あなたが気付けば良いのです。
 
人間は、他者から感謝されて不快な思いをする人は、圧倒的に少ない。
なぜなら、本能が他者から評価されることを好むからです。
 
そして、他者から感謝されることが常習化されると人は、どうなると思いますか。
 
この他者から感謝されることの常習化が、人生には公私関係なく、非常に大事になるのです。
 
なぜなら、他者から感謝されることが常習化する人生。これが最も人間にとって、幸福度が高い人生ということなのです。
 
そして、自分は他者から感謝される存在だという自負が心にあると、自殺の対極にいる存在になれるのです。自殺とは、自分の存在意義を失うことで生まれる現象だからです。
 
したがって、人間という生き物は、他者からの感謝が、生きる上で最も必要な原動力になる。

これこそが、やる気の正体であり、モチベーションを維持することに必要なものなのです。
 
これから先、あなたに決して忘れて欲しくないことは、従業員の物心両面の幸福とは何か、この正しい認識です。
 
物の幸福が給与や福利厚生といった待遇なら、心の幸福は、従業員一人一人を「他者から感謝される存在」にするということなのです。
 
この会社が世の中から感謝される。この店が地域のお客さまから感謝される。
この二つでは、実際には何の役にも立ちません。
 
この会社、この店舗で働く人達がお客さまから感謝される存在になるように仕向ける。

これが、結果的に最も強い競争力を生み。最も強いブランディングとなるのです。
 
あなたが教育担当、あるいは経営層であれば今一度、あなたの会社が実施していることを見渡してみてください。
 
あなたの会社は従業員一人一人の存在を活かすことを真剣に考えているかと、深く考えれば考えるほど、次代の実店舗に必要なものが明確になります。
 
もし、あなたが教育担当でなければ、最寄りのスーパーマーケットで観察してみてください。
 
入り口から入り生鮮食料品を通り過ぎ、買い物カゴに商品を入れ、レジに列ぶ。会計を終え、サッカー台でマイバッグに商品を入れ帰る。
 
入店から帰るまでのこの間、店員に感謝することは何回あるか。注意深く感じてみてください。

全く無かったということもあるかも知れませんし、欲しい商品を買えればそれで良いと感じるかも知れません。
 
その上で、最寄りのスーパーマーケットを注意深く観察してみてください。
 
 
野菜や魚、肉をただ並べるだけで、良いのか。

商品棚は綺麗に陳列するだけで良いのか。

レジは、素早くスキャンし、釣り銭を間違えずに決済完了すれば良いのか。
 
 
どこで、お客さまは店員の温もりを感じ、この店の人達は感じが良いという記憶になるのか。
 
人間の温もりをお客さまに記憶して頂くのは、必ずしも対面とは限りません。
私が間接接客と呼ぶものもあります。
 
 
(これより以下、敬称略)
例えば、東京渋谷にあるタワーレコード、東京神保町の三省堂をご存じなら、各CD棚や平置き本にあるPOP広告の文章を見てご存じの人もいるでしょう。これが、間接でも接客ができるという事例です。
 
POP広告も接客意識のない人が作ると単なる商品説明で終わります。
これでは、いかに丁寧に書いても顧客の心には響きません。
 
ところが、接客意識がある人がPOP広告を書くと必ず「情熱」が載っています。

売り手の情熱が記載されているかで、まったく売上効果が変わります。
 
これは、店頭販売の経験で成功したことのある人なら、簡単に分かることです。

すぐに想像できなければ是非、あなたの店頭で実際に実験してみてください。
 
「ただの詳細な商品説明のPOP広告」と、
「自分のお気に入り品で、是非お客さまにも試して欲しい」
と、思っている商品説明のPOP広告で、売上の違いを見てください。
 
なぜ効果が変わるのか。より深く理解出来る、具体的な実験も我々は用意していますが、ここでは文章にできません。
塾生には、いずれ可視化してご覧に入れましょう。
 

ここでは、結論だけ言いましょう。

小売業を例にすれば販売者が愛着のあるものは売れやすく。
興味の無い商品は売るのが難しいということです。
 
これは、科学的な根拠に基づく考えというよりも、現場の経験上得られる智恵と言えます。
したがって、実践の中でしか掴めない感覚です。
 

さらに実際にある面白い応用例をお話します。
 
自社の製品に愛着が有り、自分の仕事に誇りがある保険外交員は、お客さまに開口一番、自社の商品説明をしなくても、結果的に売れているのです。
 
ところが、自社の製品に本心では愛着が無い、また自分の仕事に自信がない保険外交員ほど、商品説明だけに熱心になる。その結果、売れません。
 
この違い、あなたは理由が分かりますか。
 
 
 

対面セールスの法則とは何か?

 
 
実は、対面のセールスには非常に重要な法則があるのです。

それは、物を売るだけでは駄目。これを、知る人だけが成功するという法則です。
 
実際の例でヒントを出しましょう。実際にある保険会社の話です。
 
2011年の東日本大震災の後、被災エリアを担当していた保険外交員は、震災前に売れなかったことを涙ながらに後悔したそうです。
 
あの時、もっと保険について丁寧に理解して頂ければ、あるいは自分をもっと信用して頂ければ、今助かった方々が多かったはずだと悔しがったのです。
 
この悔しい気持ちにこめている「もの」が、物を売るだけでは駄目だという正体なのです。
たとえが、少し分かりにくいかも知れませんが、あえて話をしましょう。
 
 
悔しい気持ちのある保険外交員は、自分達が販売しているものの意味を知っているからです。
 
保険商品だけでなく、物販には商品自体だけではない、商品を取り巻く様々な価値があります。
 
その価値を、一つでも多く見出した人に、見えざる販売力が宿るのです。
 
その証拠に、スーパーマーケットで、ただ並べている野菜や、酒類よりも、
生産者の思いも商品にのせ販売するインターネット通販の方が、売れる率が高い。
それに、気づかれませんか。
 
 
さらに付け加えると、お客さまのために悔し涙を流す心根が、お客さまから信頼を得る源を作っているのです。
 
だからこそ販売力の源は、販売者の人間力だと言いきれます。
 
では、人間力とは、何か。これは一言では、なかなか言い切れません。
 
ただ唯一明確に言えることは、何らかの販売や、何らかのサービスを提供する仕事、これらすべての商売は、売り手の生き方が、幸か不幸かすべて出るということです。
 
平素の生き方が、最終的に物言う世界だということです。
この点では、非常に厳しい世界だと実感しています。
 
 
例えば、人間力の無い人が、ワインを売るとき、品種や生産地の説明しかできませんし、それらの説明以外はしません。
しかし、人間力がある人は、ワインそれぞれにあるストーリーを語り、熱を持って薦める。だから聴いているとワクワクする。新たな出会いが生まれる。これが人生を豊かにしていくと無意識に買い手は感じるのです。
 
大事なのは、ワインという酒を売ることでは無く、ワインを飲む豊かな時間のある人生を味わって頂く。そのために、ワインを売るということなのです。
 
 
保険でも同様です。

人間力の無い人は、商品の説明と、保障内容しか説明しませんし、それ以外はできません。
ところが、人間力のある保険外交員は、自分の信頼性も合わせて売ろうとするのです。
 
この証拠になる話をしましょう。
 
保険外交員の世界には、「MDRT」(Million Dollar Round Tableの略)

(詳しくはこちらへどうぞ。一般社団法人 MDRT日本会)という世界的な会員組織があります。日本にもあります。
MDRTは、トップセールスマンしか入会資格がありません。

したがって、入会するだけでも大変であります。

その会員中で、さらにTop of the Tableと言われるMDRTの入会基準の6倍以上の保険販売成績を有する一握りのトップセールスマン中のトップ会員がおられます。
 
 
そのお一人の営業スタイルを伺った時の話です。

お客さまと会った際、保険の説明は一切しない。世間話だけで大いに盛りあがり、帰り際に一言、「あとは、私を信じて全て任せてください」と、お願いするだけ。これで大口の成約がとれるのです。
 
無論、既にお客さまとの信頼関係を築いた後とはいえ、これがトップセールスマン中のトップの販売スタイルなのです。恐らく、新人保険外交員には、まったく真似のできないスタイルです。
 
なぜ、商品説明をしなくても売れると思いますか。本講演内容を理解しているあなたは、既にお気づきかも知れません。
 
そうです、私(外交員)に任して頂ければ、必ずお客さまの悪いようにはならない。
これを顧客自身が、既に確信しているから売れるのです。
 
そして重要なのは、商品説明を上手くするより、自分を売ることが販売には必須だと気づくまで、何度も失敗してトップセールスマン中のトップに成っているということです。
 
私が知る限り保険外交員のトップセールスマンの自己研鑽は、凄まじいです。日々の努力に、いつも敬意を感じています。
 
そういう意味では、今の小売業は、大企業ほど販売担当者の危機感が足らない。
いつも店頭で、それを感じています。
 
売れないのは商品が悪いわけでも無く、経済動向が悪いだけという単純なものでもない。そう感じます。
 
大変な世相の中でも、売れる人は売れるのです。
 
それに当事者が気づき、真剣に向き合った先に光明が生じると感じています。
他の所為にできる心とは、それだけまだ余裕が有るということかも知れません。

潜在意識が切迫していないから、不平不満が言える。それが、人間なのだと感じます。
 
人間は、本当に追い詰められると不平不満すら言えなくなる。
これは、味わった人しか分からない厳しい現実です。
 
 
 

 
これだけ長いWeb講演をご覧になった、あなたに敬意と感謝を表し、もう一つ踏み込んでお話しします。
 
これからの話は、商人道義塾哲学編と実践編の「接客の構え」に繋がります。
宜しければ、是非合わせてご覧ください。
 
先ほどまで、あなたに、あなたの会社や店舗で、お客さまから感謝される点を探すようにと、お話しました。
 
そこで、カゴの置き方や、商品の陳列の仕方、レジ応対でのお釣りの渡し方、挨拶の仕方、具体的にアイデアを出されたかも知れません。
 
それは、決して間違いではないでしょう。
 
その上で、商人道義塾でしか恐らく扱わない領域の話をしましょう。
 
 
それが、次の二枚の写真です。
 
 
 

 
この写真は、同一人物です。
 
この写真を見て、まず何が記憶に残りますか?
 
そう相手の目つきです。
 
新型コロナウイルスの流行で、皆がマスクをする状況下で、最も注意しなければならないことを、的確に教えている会社は多くないと感じています。
これは、想像以上に怖いことなのです。
 
なぜなら、人間には、意識的な記憶と、無意識の記憶があるからです。
意識的な記憶は、無意識の記憶に比べれば、大した問題にはなりません。
汚名返上も後からできるチャンスがあります。
 
マインドシェアの法則と呼んでいるものがあり、大嫌いは大好きに変わることができる。それを知っているため、意識的な記憶はさほど恐怖を感じません。
しかし、商売で恐ろしいのは、お客さまにある無意識の記憶です。
 
これは無意識のため、お客さま本人も自覚がない。
ところが、この無意識の記憶が再来店の動機づけになっていることが多いという事実なのです。
 
そして、この無意識の記憶には、店員が発散する雰囲気、目つきが大きく残っているのです。
 
あなたにも経験がありませんか?
 
あの店、理由は無いけれど何となく嫌という感じが残る。
または、不味いわけではないけれど、一度来店したら、もう行こうと思わないレストラン。
 
これらは、具体的な嫌な記憶が思い出せることはありません。
しかし、嫌な記憶は、確実に潜在意識に残っているのです。
これが、無意識の記憶です。
  
だからこそ、最初に気づかなければならないこと。

それが店員各位の雰囲気と目つき。
そこから変えることが、実はお客さまから感謝を受ける上でも、大事なことになるのです。
 
人間が、かもし出す雰囲気は、心根が作ります。
そのため、商人道義塾では、哲学編を重きに置いているのです。
 
なぜなら、立ち居振る舞いが粗野で、ぶっきらぼうな言葉遣いでも好かれる店主がいる理由も、店は古くて汚くても行列ができる中華料理店があるのも、すべては心根の違いが体現されている結果でしかないからです。
 
したがって、心根がお客さまを歓待する気持ちがないと、いかに立ち居振る舞いや言葉遣いで見栄えを良くしても、お客さまの無意識の記憶、即ち本能的な感覚が見破ってしまうのです。

この本質的な商人としての有様や生き方を今教えてくれる人が大手ほど社内にいない。そう感じませんか?

そして実践編では、心根という精神論だけでなく、自分が出す雰囲気を瞬時に変える方法を、伝授する予定なのです。

しかしながら残念なことに、新型コロナウイルスの流行で現在公開を延期しています。 
なぜなら、雰囲気や目つきを良く変える方法が、呼吸と関係しているからなのです。
 
呼吸の仕方を変える訓練と、新型コロナウイルス感染リスクが切り離せないため、公開を延期しています。 
私が直接指導できる場であっても、現在は中止しています。
 
大量に吸気するため、集団研修は勿論、家庭内でも危ないと感じているからです。 
その上で、あえてここでお話したのは、人間は意識するだけでも、体は変化します。
 
気づかなければ、一生知らないことでも、気づいてしまえば瞬時に状況が良くなるということ、人生には、よくあることです。
 
そのため、最後にお話しました。 
実践編で接客の構えを話すのは当分先かも知れませんが、哲学編では語ります。
 
是非、合わせてご覧ください。

長かったWeb講演を、最後までご覧頂いた、あなたに最高の敬意を表します。本当に立派な方だと存じます。
 
あなたの商売、そしてあなたが、この世にいることで、周りの人達の幸福量が増えることを、心より祈願しております。
 
これにて終わります。ありがとうございました。
 
 
それでは、引き続き哲学編を受講してください。