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【特別講義】3つ目の開校理由になった小嶋千鶴子氏から学ぶべき真髄

  
 
 
 

2022年5月20日 
 
商業界の巨星逝く
 
 

小嶋千鶴子 刀自のご逝去の報に接し、衷心より哀悼の意を表します。

 

合掌

 
 商人道義塾 塾主 山口善義

  

 
 
 
 

リンク掲載ご承諾済

 
 

 
 
 
 
2022年5月20日 106歳の天寿を全うされました。
衷心より哀悼の意を表します。合掌
 
生身の人である以上、会者定離の無常を平素より覚悟してはいます。
それでも尚、寂しい気持ちは自然と湧いてきます。
 
若い頃から自分のことより人のために心をつかい、そして働き、多くの人達に良い影響を与え続けて106歳。素晴らしい人生だと存じます。
 
30年近く前から、自分がこの世から離れる時、来てくれた人に差し上げたいと、陶器を作られていたのを存じていました。
えも言われぬその思いが実現されないとしたら、残念なことどころではない。
「どうかコロナ禍がすぎてから、ゆっくりと」と、ここ数年願っておりました。
 
コロナ禍が完全終息とは言えないまでも、お別れの会が7月にできるとのことを伺い、本当に良かったと心より存じます。
 
 私の立場では、
小嶋千鶴子刀自の写真を掲載することは、当然ながらできません。
また、コロナ禍では東京から出向き献花することも容易にできません。
 
それでも哀悼と尊崇の念を表したく、今まで人に見せたことの無い私の宝を掲載します。以下の写真が、
小嶋千鶴子刀自の晩年の作品です。大きさを感じて頂く為、私の名刺を添えました。
 
 

 

 
一人でも多くの心ある人達が、
小嶋千鶴子刀自の生き方、考え方を学び、それを忘れずにいて欲しいと願います。そうすれば必ずや、物心両面の幸福がいかなるものか、簡単に実感できるようになるからです。
 
 私が、商人を「照人」と語るようになった理由こそ、
小嶋千鶴子刀自という御仁です。
 
自分が明るくなれば、家族も、職場も、店内も明るくなる。活気が、姿無き幸を運んでくる。
我が身を灯明となし、生きる。これこそが、周りの人を幸せにし、巡り巡って己も幸福になる秘訣であります。
 
 
小嶋千鶴子刀自のような御仁が、商業界のみならず、政界や行政界、教育界に出現してくれば、人の世は今以上に良くなっていくと存じております。
 
いかに頭が良くても、優秀な学業があっても、人の上に立つ者に、腹を括る覚悟がなければ、頭脳明晰も、豊富な知識も無いに等しくなり、世の役に立たない。その結果、治められる側の多くの人達が、安寧から遠ざかり危険にさらされる。そして、為す術がなく甘んじて耐えるしかない。
 
頭を良くする事より、知識を豊富にすることより、リーダーに必要なものがある。これを教えてくれる貴重な存在も、
小嶋千鶴子刀自という御仁です。
 
多くの方々の心に、
小嶋千鶴子刀自の面影が残りますことを心より祈願致します。
 
 
2022年5月26日
商人道義塾  
塾主 山口善義
 
 
 

 
 
 
小嶋千鶴子 刀自が逝去され一週間が経ちました。
 
今は、徒然も慰めがたうという心境なれど、意気阻喪ではない。そのような感じです。
 
私の心も落ち着いてきました。そしてこの度、三重テレビ放送局様のご承諾で生前の映像をリンクさせて頂けることになりました。
この場をお借りし感謝申し上げます。
 
そこで少しの時間、お話しさせていただくことにしました。
 
小嶋千鶴子 刀自と私は、祖母と孫ほどの年齢差があります。私の祖母も大正生まれでした。
 
はじめてお話しますが、風貌が私の亡き祖母とよく似ておられます。前かがみで人の話を聞くところ、耳たぶの大きいところ、手を重ねながら、かしげて人と話す姿、着ている服、本当によく似ています。そして、私の祖母も中山道沿いの呉服店の娘でした。実は色々な意味で、親近感があります。
 
 
10年ほど前に、小嶋千鶴子 刀自のお側におられる御方に、小嶋千鶴子 刀自に面会させて欲しいと申し上げたことが有りました。
 
「高齢ということと、現役を退いて長らく経つためお断りしたい」、それが本人の希望ですと、非常に丁寧に断られてしまいました。
 
あの時、恐らく無理に懇願すれば、お目にかかれたのかも知れません。
しかし無理を通せば、不敬になる。サービス業に身を置く者にとって礼儀を欠く行為はあってはならないことの一つであり、本末転倒になります。それでは面会しても意味がありません。
そのため、私は無理もないことと存じ、我慢しました。
 
ただし面会希望の理由を話し、小嶋千鶴子 刀自のお話を私のセミナーで行うこと、著作「あしあと」の内容を語らして頂くことだけは伝えました。
 
御本人にお伝えしても「勝手にせい」と言われるでしょうが、商人道義塾で小嶋千鶴子 刀自を語る際も、お側の御方には伝えてあります。
 
とうとう御本人には、お目にかかれぬまま、今生の別れになってしまいました。覚悟はしておりましたが、現実になると寂しい限りです。
 
三重テレビ放送局様の映像にもありますが、小嶋千鶴子 刀自が私費を投じて造った美術館が三重県にあります。
詳しくは、最後に付記しますが、パラミタミュージアムという名称です。(今は、文化財団に寄付されているので、個人所有ではありません)
 
気休め無く申し上げ素敵な美術館です。私も何度か伺っていますので本当です。
 
小嶋千鶴子 刀自にはお目にかかれなくても、筋は通す。それが私の流儀のため、小嶋千鶴子刀自の話をするセミナーがある際は、都度伺いました。
 
パラミタミュージアムの1階の奥に気分の落ち着くサロンがありまして、私はパラミタガーデンを眺められる席に座ります。
そこでセミナーで、どのように小嶋千鶴子 刀自の話をしようかと構想を練ったり、あるときは教科書の原稿を完成させたりもしました。
 
たった数行の文章のために、東京から三重まで行くとは変人だと、呆れる人の方が多いです。
 
それでも尚、あえて伺うのには理由があります。
小嶋千鶴子 刀自の話を、単なる知識ではなく、言霊にするために伺うのです。
したがって、無駄なことをしているとは、私自身は感じていません。
 
そうは言ってもミスター サム・ウォルトンを語る際に、都度ベントンビルまで訪ねるのかと言われれば、それは確かに無理かも知れません。
 
東京から三重なら無理と言うほどの距離ではありません。名古屋駅から乗り換えて伺える距離です。まして、新幹線がある時代では東京からでも遠くはありません。
 
ただ、私は移動の荷物が多いので、夏は最寄り駅である大羽根園駅から歩くと、頭がくらくらすることもありました。
しかし、タクシーは乗りません。歩ける距離をタクシーなど乗るようでは、小嶋千鶴子 刀自を知っているとは言えないからです。
小嶋千鶴子 刀自をご存じの方は、この意味が分かるのでは無いでしょうか。
 
 
私が、パラミタミュージアムに最初に訪れた際に感じたことがあります。
終の大事業にパラミタと名づける。そして老若男女、何人たりとも隔てなく、障がい者の方々にも優しい造りで建てる。実に、天晴れな建物で有り、小嶋千鶴子 刀自の人柄が建物に現れていると感心しました。
 
更に、展示室で最も良い場所に、御主人である小嶋三郎一画伯の作品が展示されておられました。その時の感情を正直に本音で語ると、「良い女房じゃないか」と思ったことを覚えています。
 
「夫は、ほっぽらかし」という随分前に読んだ、小嶋千鶴子刀自のインタビュー記事がよみがえったからです。
 
私も十代の頃は芸術家が集うアトリエに通っていたので、芸術家の苦労はよく知っています。
個展を開くのも、実は簡単ではありません。例えば東京の画廊などは、費用を払えても使わせて貰えないところが多いのです。
それ故に、このような素敵な美術館の一番良い場所に夫の作品を飾る妻がいる。その思いにしみじみと目頭が熱くなったことを鮮明に覚えています。
 
 
 
はじめてパラミタミュージアムに伺った記念に、何か小嶋千鶴子 刀自を感じるものを買って帰ろうと思いました。
 
なかなか見つからなかったのですが、ある物に目が留り、即決で購入しました。
 
それは、般若心経が刻印されている手鏡です。般若心経の本文262文字の中に、小嶋千鶴子 刀自の生き様を表す言葉がある。
そして手鏡は、身だしなみのための道具と思う人が多いでしょうが、姿見は自分と向き合う道具とも言えます。
 
私は、この手鏡が最も良い面影になると存じ買いました。
しかし、今私が言っていること、恐らく多くの方は何のことやら、まったく判らないでしょう。子細は長くなるので割愛します。
 
 
ただし私の語ったことで誤解が生まれてはいけませんので、補足します。
 
 
パラミタという言葉も、般若心経も仏教の言葉です。
しかしながら、イオングループが仏教に傾倒しているということではない。これは、間違いないと存じます。
 
なぜなら既にイオングループの何社かは、公開株式企業です。公開株式企業は、公器であります。公器である以上、人権保護や法令遵守を重んじる立場でなければなりません。
 
非常勤職員を含め全従業員各位の中には、無神論者や、様々な信仰をもつ人達が勤めておられるはずです。
 
イオングループは、いまや流通インフラ企業と言って良い存在です。
公器の立場で、一人一人の生き方を尊重することが必要な組織となっています。
したがって、一つの価値観や、宗教宗派に傾倒していることは、けっして無い。これは、あくまで私の想像ではありますが、正しい見解と存じます。
 
 
重ねて私自身も、生まれつき仏法のようなものに詳しくとも仏教徒ではありません。
無論、いかなる宗教宗派を否定することはしませんが、属しも致しません。今後も変わらず他界する所存です。
したがって、決して誤解の無いように切に願います。
 
その上で、是非お近くにお越しの際は、パラミタミュージアムを訪ねてみてください。
 
新型コロナウイルスの流行で、現在は中止されているのかも知れませんが、定期的に演奏会もされています。
 
生前、小嶋千鶴子 刀自も演奏会を楽しみにしていたと伺っています。
是非、一見の価値ある作品群、優しい建物、そして四季折々の花が咲くガーデン散策をしてみてください。私が何度も伺っている理由が、必ず御理解いただけると存じます。
お車であれば、私のように大変な思いをせずに行けますし、近くの温泉にも寄れるでしょう。
 
是非、コロナ禍が過ぎ去りましたら、お誘い合わせの上、お出かけください。
 
 
 

あなたが、ピーター・ドラッカーを熱心に学んだように、これから先は、アジアをはじめ、世界中の若者が、あなたを学ぶようになるでしょう。そして日本には、これほど素晴らしい人がいたと気づく。この気づきが平和の源泉になっていきます。なぜなら、愛着あるものを攻撃すること、人間には難しい。本能を味方に付けることこそ、最強の防御となるからです。
あなたの存在が、平和の源泉になるよう心より願っています。

商人は平和だからこそ生きる場がある。 
平和の尊さを、あなたは誰よりもよく知っておられる。若い頃からけっして楽をしてきたわけでなく、お客さまのため、社員とその家族のため、母のため、弟のため、寸暇を惜しみ身を粉にして働いてこられた。病弱な宗教家が歴史上少ないのは神仏の加護というより、人を助けて我が身助かるの本意を体現したにすぎない。身を削り人に尽くさんとする生き方が、運動や食事より遥かに体に良いこと。あなたは身をもって証明された。素晴らしい人生と存じます。

中国で暴動が生じた際、空襲で店を無くしたあなたが、イオンの看板がある店が壊れる姿を見て、どれほど辛い思いで観ておられるのかと、心配したことを覚えています。あの惨状では、従業員が皆逃げ出しても誰も責めなかったでしょう。しかし、中国イオンで働く中国国籍の社員各位は、誰一人辞めなかった。辞めるどころか、もう一度頑張ると士気が上がった。その陣頭指揮をとっていた御方が文化財団の理事になり、あなたの最後の側にいる縁となる。この縁をみて、あなたがされてきた社員教育の成功の証しを見た気が致しました。あなたは、ジャスコを創ったわけでも、イオンの礎を作ったわけでも無い、人をつくったのだと、つくづく感じました。金を残すことより、物を残すことより、人を残すことの方が尊い。言葉にすると容易でも、いざ実戦となれば至難の業であります。これを、あなたはやってのけた。あなたが育てた人達が、次の世代を感化する。あなたの志が、この世から消えなければ、たとえ実在は消えても、空は残る。あなたから薫陶を受けた人達が、必ずまた良い世を創ると信じています。

人間界では、謙虚は美徳です。思い上がれば成長が止まる。しかし、もう謙虚でいる必要はないと存じます。堂々とパラミタの境地に上がってください。あなたなら光明は眩しいと感じないはずです。

「商業界の巨星逝く」恐らく、あなたが最も嫌うであろう言葉を、最後の時にあえて使いました。目で見えるものだけで判断する者が多い世で、歴史に名を残すだけが巨星ではないことを証明したいがためです。御容赦ください。

あなたを知ることで、たとえお目にかかれずとも、私は商売のコンサルティングの方向性を悟りました。人が育てば、店も会社も育つ。裏を返せば、たとえ良質なクレドや、マニュアルがあろうが、研修時間が豊富にあろうが、人が育っていなければ店も会社も滅びる。人が育つとは、仕事を覚えることのみにあらず。人道を感得できるようになるということ。正道に従順になれる謙虚な身を有すればこそ、道なき道を誤らず正しく進める。あなたから学べることであります。

サービス業は、他人のために己の心と命を使う仕事。これらを使えない者が多くいる店や会社に発展はないと、既に断定できるようにもなっています。

さらに教師の心得として、老いるということは、成長でも成熟でもないと自覚することが大事。熟成と腐敗が自然界にあるように、時間が経てば、人は自ずと成長するとは限らない。成長しようとあがく者だけが成長する。
教師の仕事は、花木に水をまくことではなく、花を咲かせること。花を咲かすことができなければ、育てたとは言えない。この厳しい現実を、あなたを通じて学びました。

そして、あなたの御側におられた御方との御縁を頂けたことは、何より幸せであります。その御方の御陰で、長い間分からなかったことも知ることができました。
 

「あなたが、この世に生まれてくれて、本当に良かった」
 
 ありがとう ございました。

 
 

最後に改めまして
小嶋千鶴子 刀自のご冥福と感謝を心からお祈り申し上げます。

合掌

 

商人道義塾 塾主
山口善義

 
 
 
 

 
 以下、パラミタミュージアムのホームページより引用。

■開館時間

9:30~17:30(入館は17:00まで)年末年始は休館いたします。          

展示替え期間は一部閉場となります。(詳しくは美術館にお問い合わせください)

■入場料

一般1,000円(4枚セット3,000円)大学生800円・高校生500円・中学生以下無料  

※障害者手帳をお持ちの方は無料(ミライロID 可)(美術館受付にご提示ください)

■駐車場・他

全館バリアフリー対応(車椅子常備)                      

無料大駐車場 普通車100台 大型駐車可

■所在地

〒510-1245 三重県三重郡菰野町大羽根園松ヶ枝町21-6

最寄りの駅:近鉄湯の山線 大羽根園駅 近鉄湯の山線 大羽根園駅 LinkIconYahoo!路線情報サイト

■公式URL

      https://www.paramitamuseum.com/

■地図

 
 
 
 
パラミタミュージアムの利用案内は変更になる可能性がございますので、お出かけの際は事前に公式ホームページで御確認の上、お訪ねください。
 
 

 
 
 
 
 
 
商人道義塾 第一回講義

 
 
 
 

【特別講義】3つ目の開校理由になった小嶋千鶴子氏から学ぶべき真髄

 
 
開校の理由の3つ目に、ある人物の面影が消えつつあると話しました。
 
その人物についてお話しましょう。
ここからは、ざっくばらんにお話しますので、どうぞ気楽になさってください。

但し、単に私の好きな人の話では、あまりにも質がありません。
そこで、講義を兼ねます。読み始めたら最後までご覧ください。
 
記念すべき、商人道義塾 第1回目の講義になります。

 

 


 

私が、この人が出世すれば、必ず世のため、人のためになると感じる人に、差し上げてきた書籍があります。この書籍の著者こそ、私が理屈抜きに好きな人物(以下、著者ともいう)なのです。
 

私が知るかぎり、サービス業の関係者が記した書籍の中では、最も未来へ残すべき名著だと思っています。
但し、この書籍は流通していないため、関係者でも、今となっては容易に手に入りません。(ご紹介できないにも関わらず、お話しするには、相応の意味があります。)


なぜ、私がこの書籍を名著だと思うのか。理由は多義にわたりますが、一つ理由をお話します。

その理由は、会社が発展するための優先順位が、明確に書かれているからです。

会社自体の成長を設備、制度等々のハード面から考えるよりも、その会社で働く人達の成長を考えることが先だと記されています。
 
 
 
 

 「社内の人が育つから、会社が育つ。」

 
 
簡単な言葉ですが、実は、奥が深い言葉なのです。

なぜなら、社員が成長すれば、会社が発展することは誰でも分かります。だからこそ、社員研修を、大手企業ほど好みます。

しかしながら、この著者は、その程度の表面的な認識で書いていないのです。
 
私が、著者の優れた考えと思う点は、「会社のために従業員を育てるのではない」ということです。
この点が、恐らく多くの管理職の考えと異なる点でしょう。
 

したがって、先ほどの言葉を、言い換えれば、
 
 

「社員を会社のために育てなくても、人として社員が育てば、結果的に会社が育つ」

 
となります。

なぜ、このような発想が著者にはできるのか。それは、社員は、会社のものでは無く、世間様からの預かりものという感覚があるのです。
 
しかもこの感覚は、著者本人だけでなく、著者の祖先達が何代にも渡って実行してきているのです。これが、奥が深い理由です。

したがって、経営者は社員を会社のためだけでなく、物心両面で豊かにするべく教育しなければならない。その義務と責任が経営者にはあるという感覚が、この本には書かれているのです。

社員が勇んで働き、満足して就業していれば、その結果として会社は発展すると経験を持って記してある点が、名著と言える理由です。

加えて、もう一つ本の内容をお話しすれば、著者の考える人事についてです。
 
一般的にも、人材は適材適所と言われます。これは、多くの人が知っています。

但し、自分で天職を見つけられる人は良いのですが、世の中なかなか自分では見つけられません。

ややもすると、安易な人事、裏付けがない評価が、人の可能性を殺すことがある。
だからこそ、その人その人が活かせる場を、人事担当者は、本気で悩まなければならない。

そして、適材適所ということの本質を、深く知らねばならない。人を活かすと言うことは、何を活かすことなのか。これらが、事例と共に書かれています。

あなたの会社は、人事部が、頭を抱えて日々悩んでいますか?
悩んでなければ、業績は良くない。該当しませんか?

人間という生きものを、本質的にとらえていなければ書けない内容の本です。
人を教育するとは、何を大事にすべきなのか。指導とは何か。的確に教えています。

管理職に就く人や、指導者となる人には、読んで損は無い書籍だと私は思っています。
だからこそ、一角の人物だと思う方には、頼まれなくとも差し上げるのです。

しかし、この書籍を私が人事責任者なら、闇雲に、社員に読ませることはしません。
なぜなら、以下に該当する人が読んでも意味が無く、また時間の無駄になることが分かっているためです。
 
 
 

一つ目の該当者

部下に好かれたい、あるいは部下に好かれることが管理職としての人望だと考える人

 
 
こちらの方は、読んでも時間の無駄になります。

なぜなら、部下から好かれたいとは微塵も思わない人間が記した書だからです。
「自分を嫌っている人間でさえ、物心両面の幸せがあるように考える」、これができる著者が書いています。
したがって、人に好かれることを優先し、自分を慕うものを優先するという人には、一生分からない内容の本なのです。
 
 
 

二つ目の該当者

組織が大きくなればなるほど、波風を立てないことが最優先だと考える人 

 
 
こちらの方は、百回以上読んでも、著者の本意は学べません。

ビジネスも商売も個人戦ではなく、団体戦です。したがって、チームワークは非常に重要です。争うことを推奨している訳ではありません。以下、注意して読んでください。

この世で、新しいものが誕生する時、あるいは過去のやり方を変え、形態が変化する時、必ず「熱」が生じます。それは、摩擦がおこるからです。これは、宇宙でも自然界でも、人間界でも同様です。
したがって、摩擦、抵抗や軋轢を恐れ、何もしないことが本当に正しいのか。深く考えることのできない人には、この書籍を読んでも意味がありません。この誕生の摂理や変化の摂理を、重んじる経営陣や管理職が組織に少なくなると、企業内の秩序は整っても、イノベーションが起きにくくなり、衰退へと進みます。
 
  
 

三つ目の該当者

客と名乗る人から、恫喝や激高をうけ、ただその場凌ぎに謝るだけの人。 あるいは、直ぐ警備員や警察に通報するような人

 
 
こちらの方は、この書籍を丸暗記しても、著者の本意は一生分かりません。そして、この三つ目の感覚が分からない人は、管理職の適性がないとも、私は言っています。

客を名乗り、目の前で言葉汚くなじる人でも、言っている事が正論なら、仲間になってもらうことをお願いする。怒っている、言葉遣いが悪い、態度が粗野、その程度には心を留めず、相手の心根だけをじっと見る。そういう生き方のできる人が書いた本だからです。 
 
 
 

四つ目の該当者

簡単に妥協する癖がある。あるいは自分より立場の強い人とは争わないことが無難だと考える人

 
 
こちらの方は、この本を読んで、書かれている言葉の意味をすべて理解しても、行間を読むことができません。結果、優れた管理職にもなれませんし、せっかくの名著が勿体ないことになると分っているため、4つ目の該当者には、たとえ大金を出しますと言われても、差し上げません。

命に逆らいて君を利するということ。誠が強い人間ということは何か。それらを知る努力ができない人は、この著者の本は、全く意味を成しません。
 

この書籍は、後進のために書かれているため、読む人を選ぶ本ではありません。著者も、そう願って書いています。
しかし、日本語が分かれば、誰にでも読めるというレベルの本ではないのです。

人類の歴史には、読めば学べるという本と、読むだけでは意味をなさず、全く役に立たない本という物があります。この書籍は後者であります。
 

この書籍を読んで、文中のすべての言葉の意味を理解し、それを暗記しただけでは、現実には全く役に立ちません。
乱暴な言い方で失礼に聞こえるかも知れませんが、いま私が言っていることは、分かる人には分かります。
 

前置きが長くなりましたが、この書籍は、小嶋千鶴子 刀自(とじ)が記した『あしあと』という書籍です。【link:言葉の意味は、goo辞書©参照願】

小嶋千鶴子 刀自とは何方か。ご存じ無い方もおられるでしょう。
 
 

あしあと

 
 
 
 
 
 
 

この書籍の著者は、東海友和著書『イオンを創った女 ― 評伝 小嶋千鶴子』の御本人です。(※注意補足あり、↓下部参照)

100歳(2022年現在)を超え御元気でおられます。したがって、過去の人ではありません。

【※ 2022年5月20日御逝去されておられますが、文章の変更は致しません。】

 
話が、少しそれますが、私の見解を付記します。
 
『あしあと』は、間違いなく名著でありますが、致命的な欠点があります。
 
欠点があると言うと、小嶋千鶴子 刀自を知る相当な数の人が、怒るかも知れません。気分を害される方がおられれば、ご容赦ください。

では、どこに欠点があるのか、率直にお話します。
『あしあと』を書いた小嶋千鶴子 刀自は、自分が優れた人間だという自覚がありません。
そして、自分が極めて優秀なリーダーであり、経営者だという自覚もない。そのため、もう一歩踏み込んで書かなければならないことが、著者の謙虚さゆえに書かれていないのです。
本当に後進に伝えなければならない事が書かれていない。そう感じています。
小嶋千鶴子 刀自の面影が消えて行っている理由も、これが原因の一つかも知れません。

人間にとって、謙虚であることは、崇高な美徳と思います。
小嶋千鶴子 刀自の人柄ゆえの欠点で有ることも承知しています。
大企業の礎を築いても偉ぶらない人柄。現役を退いて長く経っても尚、周りの人に恵まれる人柄。
だからこそ、私は小嶋千鶴子 刀自という御仁が理屈抜きに好きなのです。
 
周りの人に恵まれる人柄とは、どういうことでしょうか。
 
小嶋千鶴子 刀自が終の住処として造った施設があります。
その施設の人に、商品を送ってもらったことがありますが、単なる丁寧ではなく、誠が強いと思う梱包に感心したことがありました。
 
その後、小嶋千鶴子 刀自のお側におられる方に、「小嶋さんとは、どういう方ですか」と、尋ねたことがあります。私は、元気で楽しい人、優しい人というような、ありきたりの答えが返ってくると無意識に予測していたのでしょう。
 
ところが、「小嶋千鶴子は、私たちの宝です」と即答されました。
 
九十歳を超えて尚、他人から宝と言われる。
何という人生だと、感心などという言葉では、表現できないほどの感情が、芽生えたことがありました。
 
つくづく良い人生を過ごしてこられた方なのだなと、身に染みたことを覚えています。
 
人に恵まれる人は、私を含め、世の中に多くいます。
しかし、小嶋千鶴子 刀自はレベルが違うのです。
「あしあと」に記されていることに偽りはない。改めて実感させられた瞬間でした。


では、名著『あしあと』のどこに欠点があるのか。その理由をお話しします。
 
『あしあと』を丸暗記したとして、以下の感覚は得られない。それが、欠点という理由です。

いかがでしょうか。今、私を批判する方、立腹した方は、本気で一緒に考えて見ませんか。
私は、伊達や酔狂で、小嶋千鶴子 刀自を好きと言っている訳ではないのです。
 
 


 
 
第二次世界大戦中、小嶋千鶴子 刀自の自宅も店も空襲で焼け落ちました。
常人なら、自分がこれから先、どう生きていくかで手一杯です。自分のことしか考えられなくなっても、誰にも責められ無い状況であろうと思います。

ところが、小嶋千鶴子 刀自は、従業員に退職金を払い。従業員名義の株式も現金で買い取る。尚且つ、戦時中の避難時、営業利益もないであろうころに、当座の生活費だと言い、店にある現金を従業員に分けていたのです。

それどころか、驚くことに空襲で焼けずに残った半紙に「商品券を御持参の方は、現金化します」と、書きます。
それを街中に貼って、お客さまに返金したのです。

しかも、これらを小嶋千鶴子刀自は、三十歳も満たない年齢でやれるのです。
 
 

 
 
 

問題は、「なぜ、迷いなくできるのか。」この点なのです。


どうすれば、自分が絶体絶命の際に、自分よりも他人を優先することができるのか。

この心根は、何から生まれるものなのか。どうすれば、生まれるのか。
 
人の上に立つということは、何が必須か。
なぜ、自分を他人のために犠牲にできるのか。
 

もし今、私の言葉に批判や立腹しているなら、その人にお尋ねしたい。

『あしあと』を何回読めば、小嶋千鶴子 刀自のようになれますか。

 
 
 

小嶋千鶴子 刀自の本当の凄みは、名著『あしあと』からでは学べない。

 
 
 
私は、そう感じています。

したがって、名著『あしあと』から学べないものがあると自覚させて読ませなければ、著者が最も大事にしている本質は見えてきません。

『あしあと』を読み、知識だけ高めれば事足りるという錯覚が、悪気無く大事なものがなくなっていく原因を作るのです。
 
 
 
 

小嶋千鶴子刀自から後進が、先ず学ぶべきことは...。
人の上にあがる者、人の前に立つ者の「腹の括り方」である。

 
 

心定めなどという生易しい覚悟ではない。自分に対しても、他人に対しても絶えず本気。
これらを学ばないから、面影が消えていくのだろうと思います。

自分(著者)は、人の上に立てる器ではないと感じつつ、それでも自分が、人の上、人の前にいることで社員が不幸になってはならない。だからこそ、どんなに疲れていても、研鑽を積むために数時間の読書を、毎日続ける。
 
船長である自分(著者)が、天気(=経済状況)を予測できなければ、乗員乗客が危険にさらされる。だから朝は早く起きて、十社ちかくの新聞に必ず目を通してから仕事に出る。
 
小嶋千鶴子 刀自にとって、己の成長や研鑽は、自分のためだけでなく、他人のため。己の努力が、すべて人のため。世俗の中で、これ以上、天晴れな生き方があるだろうかと思います。

会社をよく変えようと思えば、先ず自分を変えること。自分が変れば、周りが変り、組織が変り、会社が変るという信念を貫いて生きてきた。己の人生のすべてを掛け、命がけで管理職をやる。
 
これが、『あしあと』に著者自ら記すことのない、小嶋千鶴子 刀自という生き方です。
そして、この生き方を引退まで貫き、ジャスコの屋台骨を作ったのです。
 
 

『あしあと』にある実際の文章を引用すれば分かりやすいことは承知していますが、著作権保護も必要です。何より、ご本人の承諾無く引用すること、私の仕事がら抵抗があります。


また、安易に引用すると失敬になるため控えますが、『あしあと』の最初に、はじめにという序文があります。
 
この序文、序文にもかかわらず、商売の真髄が書かれております。

私が初めて拝見したとき、序文に真髄を平易に書いてしまっていると、感心しつつも、微笑みながら呆れたことを昨日のように覚えています。

序文のため、相当な数の人が、スルーして読んでいるのだろうと多くの店を観て感じます。

またこの序文には、ジャスコの時代は、店員が笑顔で仕事をしていたのに、今は店員の笑顔が少ない、いや無い店の方が多い。この理由も分ってしまうのです。
 

商売の真髄と言うと、気になる人もおられるでしょう。

そこで、私の言葉で置き換えます。またこのことは、商道にとって非常に重要な為、実践編の中の講義で改めて扱います。安心してください。
 
 
 
 

 商売の真髄とは何か。

 
それは、店員が明るければ、明るいお客さまが集まり。定員が暗ければ、暗いお客さまが集まる。そして、明るいお客さまが集まる店が繁盛するという内容が序文に記されています。

この感覚が、ビジネスマン教育を受けただけでは、身につかないのです。

店作りとは、店舗デザイン、什器の配列、商品陳列、その程度のものが作り出すものではないのです。
 
 
 
人が住まない家は、朽ち果てが早い。
 
 
 
この感覚を、先ず理解することが、商道の基本中の基本になるのです。
 
 
お客さまに恵まれる店が、最も寿命が長い店であることは誰もが知っています。
では、どういうお客さまに恵まれる必要があるのか。それを見極めることができれば、集客が多い時点で、閉店になる先行きを予測できるようになるのです。これが、私が言うマーケティングセンスでもあります。

小嶋千鶴子 刀自の生き方を、真似はできなくても、尊さを実践しようとすれば、少なくとも、その人の部下は幸せです。

大事な点は、偉人の考えを学ぶより、生き方を学ぶ方が、真理に近づくということです。


考え方は時代と共に変わります。しかし、生き方は普遍性があることの方が多い。

例えば、小嶋千鶴子 刀自の現役時代は高度経済成長期です。これからのスーパーは、真っ直ぐで統一されたキュウリを売るようになると考える。
しかし、これからは、サステナビリティが重要な時代であり、フードロスを改善しなければならない時代です。したがって、曲がっていたり、規格外の大きさのキュウリも売らなければならなくなります。

ところが、小嶋千鶴子 刀自の人との向き合い方という生き方は、未来でも変わらない普遍的なものです。
 
 

リーダーは、時代と共に変化するものと、不変のものとの見極めができねばなりません。

 
その見極めができない人は、なんでもかんでも新しく変えようと考える。そして、闇雲に進化論を唱えます。これが、創業理念との乖離を生み、経営が傾くきっかけとなるのです。

なぜなら、過去の遺伝子情報を無にして進化することはありません。
それが、自然の摂理です。
 
私たちは、自然の中で生きています。自然の摂理に抗うことはできません。人生も経営も、過去を全否定して進化させることはできないのです。
樹木と同じで、枝葉の剪定はできても、幹や根を入れ替えることができないようにです。これが、与えられた宿命です。

会社も店舗も、時代のニーズに合わせ変えるものがあっても、いつの時代でも、この点だけは守りぬく。この意味が分からない、あるいはできない法人は、100年以上続くことはないと感得しております。




少々余談になりますが、小嶋千鶴子 刀自には『あしあと』の他にも優れた本があります。

仮に私が採用担当であれば、一般教養の筆記試験などは一切せず、2018年3月3日に出版された小嶋千鶴子 刀自の作品集を見せます。そして、何も感じない者や、感じ方に問題有りと判定された方は、たとえ知識が豊富でも、高学歴でも採用はしないでしょう。

小嶋千鶴子 刀自の現役時代を知る方々は、言葉遣いも厳しく、決して優しい人ではないと記憶している人も多いと思います。
しかし、現役を退き作った作品群を見れば、厳しいだけの人ではない。寧ろ、情が深く、心根の優しい人が、あえて皆のために、鬼を演じてきたんだということが分かります。

2018年3月に出版された、この作品集は小嶋千鶴子 刀自が、どの角度で人を見ているかが容易に分かるものとなっています。

 

小嶋千鶴子 刀自と同じ角度で人をみるセンスがあれば、たとえ中学校しか出ていなくても私は迷いなく採用します。高校、大学の知識は、言語化できる領域、即ち人が人に教えることができる領域です。
したがって、社会人になってからでも挽回できます。
小嶋千鶴子 刀自も同じ考えだろうと私も「あしあと」から学んでいます。

 

私は、ここ20年の間、北は北海道から、南は鹿児島まで、著者が関係した当該企業の店頭を数多く見ています。

率直に言って、小嶋千鶴子 刀自の面影が、店頭で残っていると感じる店舗は、一店もありませんでした。悪気無く消えようとしていると感じています。

しかし気休め無く、また名誉のために申し上げれば、経営者が悪いわけでも、社員やパートタイマーが悪いわけでもありません。
 
なぜなら、意図的に消そうとしていると感じることも、粗末にしていると感じたことも有りません。
 
寧ろ、従業員に恵まれていると感じる店の方が、圧倒的に多い。私が実際に見ているため、真実です。だからこそ、残念な思いが強くなるのかも知れません。

ただ、このまま小嶋千鶴子 刀自の面影が無くなると、私たち市民だけでなく、サービス業で働く人たちにとって最も大事にしなければならないことがなくなる。残念で済ましてはいけない。それが、商人道義塾を創る動機にもなりました。
 
ではなぜ、悪気無く小嶋千鶴子 刀自の面影が消えるのか、15年以上前(2005年頃)に原因は見つかっています。このままでは、軒並み小売部門は、大変なことになると予言しました。
 
今日に至る間に、先代達が恐れていたことが、店頭に現れるようになっているとも感じています。
しかし、ここで詳しい原因の話をすることは、フェアトレードの観点から控えねばなりません。私の立場では、オファー無く語ることは許されません。ご容赦ください。
 
 
 
ここでの大事な点は、小嶋千鶴子 刀自の面影が消えることと、サービス業から大事なものが消えることに、何の関係があるのかという点です。

小嶋千鶴子 刀自の面影とは、「商人としてのあり方」、「商人としての生き方」を指しております。

それは、平易に言い換えれば、 「この世にいる自分以外の人との向き合い方」なのです。したがって、商売だけに留まらず、人として最も大事なことを指して言っています。
 
 

ビジネスマンと、商人では、人との向き合い方の考えに違いがあるのです。

 
これは、私の様に先祖が商人だった、あるいは物心つく頃から、自分の周りで商売をしている人達が、多くいた人でないと気づかない感覚です。
 
ビジネスマンにはない、商人感覚という独特の感覚、それを私は、小嶋千鶴子 刀自の面影と重ねているのです。
商人特有の人との向き合い方を残すという点では、小嶋千鶴子 刀自だけではありません。
 
イトーヨーカ堂の伊藤雅俊名誉会長にも言えることです。伊藤名誉会長は、有名なビジネスマンでもありますが、私から見れば大商人であります。


後進は、伊藤名誉会長の考え方や手法だけではなく、寧ろ「お客さまとの信頼の築き方」という生き方を真似る。そうすれば、人の世界で、お客さまに困るなどと言うことは、ありえないのです。
 

では、なぜ小嶋千鶴子 刀自の面影が消えつつあるのか。
ここでは、あなたにも関係するだろうと思うことを、お話ししましょう。

小嶋千鶴子 刀自の面影が悪気無く消える原因は、複数あります。


その中の一つに、社員教育の考え方と実施方法に問題があります。この問題は、すべてのサービス業に共通します。
そのため、あなたにも知って頂きたいのでお話します。
 
 

この世には、「人が人に教えることができる領域」と、
「人間では教えることができない領域」の二つがあります。

 
 
昨今、この二つを混同していると感じています。

サービス業の多くの企業が、大小規模に関係無く、この二つの違いを軽視して、社員教育を続けています。その結果、サービス業にとって大事なもの、私が、小嶋千鶴子 刀自の面影と呼ぶものが消えるのです。

そして現在、多くの人が気づいていませんが、販売不振、顧客離反に至る原因にもなっています。

サービス業は、実践実技の世界であると言うことを忘れている経営者が、実に多い。
そのため、 「わかる」と「できる」は、全く違うという感覚をもって、社員教育を行っていないのです。ほとんどの会社が「わかったところ」で止めてしまうのです。
 

社内教育が、すべて理論理解だけに重点がおかれている。これが危険なのです。
 
 
我が社は、ロールプレイングや接客コンクールをしていると、反論される方もいるでしょう。
しかし、ロールプレイングや接客コンクールも理論理解の延長上にあるものではないでしょうか。日本一に輝いても、その人のレベルに全店合わせようとは考えず、終わっているからです。
 
 
 
 

 実践実技の世界では、「わかる」と「できる」は、次元が違う。

 
 
できないことは知らないのと同じ。
言い換えれば、脳が憶えると、体が覚えるは、同じではない。この認識と感覚の無さが、数字を管理するビジネスマンは育成できても、商人を育てることができない原因を生んでいるのです。
 
そして、もう一つ厄介な現象があります。 今、私が言う「できる」という意味を、理解できない人が増えているのです。
 
例えば、
レジを操作できる。
品だしができる。
返品作業ができる。
店舗オペレーションが滞りなくできる。
 
これらの「できる」は、作業ができるだけの「できる」なのです。

作業ができるレベルでは、集客向上も、売上向上にも寄与しません。
それが、現実なのです。
 
この現実を理解できず、「できる」と思い込んでいる厄介な現象があるのです。

私が言う「できる」とは、言葉は同じでも質と意味が違います。
私が、ここで言っている「できる」は、仕事ができるということなのです。
 
 

作業と仕事は、次元が違う。

 

作業と仕事の違いが分からないスタッフが、店舗社員構成の2割を超えるとクレームが増え、3割以上になると売上が下がり始めます。そして、5割を超えると必ず倒産に向かいます。

作業と仕事の違いについては、非常に重要なため改めて講義に致します。
 


関連する項目として、付け加えてお話しましょう。
 
 

今、多くのサービス業の現場で生じている、採用に関する問題点とは何か

 

 
採用に関する問題点の例を出します。


例えば、プロ野球の選手になりたいという若者がいるとしましょう。
野球のルールを丸暗記し、戦術をすべて理解しています。
だからといって、実技を見ずにスカウトして、プロ野球選手になれると誰が思うでしょうか。
実践実技の世界とは、そういうものだと誰でも知っています。

ところが、 多くのサービス業の企業は、業務を理解し、オペレーションを覚えさえすれば、店頭に立てる。そう錯覚しているのです。これが、今の客離れ現象を生み、売上不振の根本的な原因になっているのです。

では、実践実技の世界と理解している人のスカウト活動は、どうでしょうか。
野球のルールなど全く分からない。しかし、ボールを投げれば150㎞のスピードがでる。あるいは、バッターボックスに立ち、闇雲にバットをふっても、3割以上ヒットが打てる。野球のルールを知らないから、スカウトしないという判断にはならないはずです。

サービス業もプロスポーツ同様に、実践実技のプロの世界のため、知識や学歴、また真面目さや協調性、こうした採用基準だけで採用しては、いけないのです。

採用基準で最も大事にしなければならないことを、蔑ろにしているから、おかしくなるのです。
 
 

最も大事な採用基準は、他人のために自分の心と命を惜しみなく使え、物が売れる人、お客さまを引き寄せる人なのです。

 
 
これらの点を採用基準の一番の理由にする。それが、改めて必要な時代です。

私の言うことを感情論と笑う担当者がいる会社ほど、合目的的に採用活動していないところが多い。それもまた、現実です。
 
上下関係無く、誰に対しても、「あんた、間違ってる!」と、歯に衣着せず直接言え、家の事情で学士をもたない小嶋千鶴子 刀自のような人を採用する企業が、今あるでしょうか。

そろそろ現実的にならなければならない、時ではないでしょうか。
 
では、物を売れる人、お客さまを呼べる人は、採用段階で、どのように見抜くのか。その方法を、あなたが、この商人道義塾で学んでください。
 
ただ私が最も学んで欲しいと願うところは、 採用段階では、サービス業の能力がなくても、数年で一人前にする術を、この当塾の内容で発見して頂くことです。
 
そして、 さらに私の理想を言えば、Amazonドットコムに勝てなくても、負けない経営ができる人が増えれば良いと思っています。勝つことは、今以上に年々難しくなる。理由は割愛しますが、勝てなくも負けなければ良い。そう思います。

一日も早く商人感覚をもつリーダーが増えていかなければ、益々インターネット通販会社には、勝てなくなります。

例えば、ビジネスマン感覚だと、インターネットは仮想空間、ならリアルの空間(=店舗)は、体験型だとなる。正しい考えかも知れません。
 
しかし、成功するためには注意があります。それは、人間の体験には「楽」と「苦」、もう一つあることです。

「楽」の体験を提供する施設では、インターネット通販には勝てません。インターネット通販会社のビジネスマンと、同じ心根では、この点にすら、気づかないのです。だから、益々勝てなくなる原因を生むのです。

なぜならば、売上を左右する商売で必要な体験は、「快」。このアイデアを出せる人が増えることが、これから益々大事になります。
 
来店し楽しいだけでは駄目、この感覚を、商人道義塾で養って頂ければ理想的です。

デジタルの世界は二進法の世界です。倉庫で働く人もパーツ、ユーザーニーズはcookieやクリックで分かるという数学的な発想でも、今は許されるかもしれません。

しかし、リアルの世界、即ち世俗は、数学的な発想で成功できるほど、単純ではない。それは、なぜか。
 
 

清濁併せもち、未熟なまま死に至る人間が、千差万別の価値観で同時に生き抜いている世界だからです。そこに、店を出すのであります。

 
 
だからこそ、人を深く学び、本気で向き合うことを実践する必要が商売にはあるのです。


当塾のプログラムで、誠の強いリーダーを生むことがあれば、商人道義塾を開校して良かったと思うでしょう。

私のやり方で、小嶋千鶴子 刀自の面影を未来に残したい。これは、容易なことではありません。夢で終わるかも知れませんが、素養のある人は必ずいる。いつの時代でも変わらないと信じています。
 
 
 
 
塾主 山口善義

 


 
 

※注意補足

 
 
東海友和著書「イオンを創った女 ― 評伝 小嶋千鶴子」を取り上げましたが、この書籍は、当塾の推薦図書ではございません。
 
ただし、内容は素晴らしいものであると認識しており、これから読書されようとする方々を止めることは致しません。
 
その上で、当塾が推薦図書にしない理由が、二つあります。
 
一つは、表題に違和感があります。
二つ目は、礼を欠いていると感じるからです。
 
一つ目の違和感とは、小嶋千鶴子 刀自が創ったのは、イオンではなく、ジャスコLinkIconと存じているからです。【link:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】
 
ただマーケティングの観点で言えば、令和の現在、ジャスコを創った女では売れないでしょう。少なくとも私が出版社の担当ならば、このように判断するかも知れません。そのため、「イオンを創った女」としたことも理解はできます。
 
 
二つ目の理由が推薦図書にしない理由としては、一つ目より大きいです。

それは、岡田卓也名誉会長が引退する際のグループ全体の売上規模は、約2兆3000億円、今イオングループは全体で売上規模8兆円を優に超える規模となっています。他と比較しても、とてつもない発展をしています。
これは、ひとえに今のイオン株式会社会長はじめ、各グループ企業の経営陣と、総勢約58万人(2021年)のイオンピープルと呼称される方々含め全従業員各位、そして全取引業者各位の努力と労役の結実です。
 
この事実を忘れ、簡単にイオンを創った女とするのは、現役世代への無礼だと感じています。人間関係の基本は、礼を重んじる心根です。
礼を欠けば、人を大事にしているとは言えません。
商売、サービス業は、人間主体の営みです。だからこそ、無礼が先にたってはいけないのです。
 
この世の現象や物事には、筋があります。筋を外さないということが、大成や安寧には欠かせない。これは、法人も私人も同様です。
だからこそ、当塾はいかに素晴らしい物であっても、筋が違っていると思う物は、推薦しません。これから先も、この信念を曲げることはありません。
以上が推薦図書にしない理由です。

ただし当該書籍を、経営者、人事担当者が熟読することは、けっして悪いことではありません。一読より熟読が必要な良書であると認識しています。この点だけは、最後に付記致します。
 

 塾主

 
 
 


 
 

追記

 
 
 
小嶋千鶴子 刀自の面影が関係した組織から無くなりつつあると記載しました。訂正する予定はありませんが、補足致します。
 
組織全体から醸し出されるものから小嶋千鶴子 刀自の面影は消えても、個人の心には残るということはあります。この現象を、私は忘れてはおりません。
 
それは、私が今まで拝見した全国の店舗でも観ております。
 
 
この度、中華人民共和国武漢市で発生している新型コロナウイルスで帰国を希望される方々が多い中、今尚現地に残り店舗営業を続けている日本人がいるとのこと。その中に、イオンの方だと思われる人がおられます。
 
大変な覚悟と使命感で店を開けているのだろうと存じます。
そして、関係者の家族を思えば、どれほど心配か計り知れません。
 
武漢市におられる方々の無事を心より祈願致します。
 
また祈るだけではなく、日本人として誇りに思うことがあります。
 
イオンの小嶋千鶴子 刀自と岡田卓也名誉会長の先祖である岡田屋には、「上げに儲けるな、下げに儲けよ」という家訓があります。
 
これは、平易に言うと安く仕入れたマスクを、ウイルスで困っている人達に、高値で売るようなこと、有ってはならないということです。
 
有事の時こそ、平時同様の姿勢でお客さまに対応する。それが、商人としての信用を高めるという考え方です。そして、それが岡田屋の「暖簾」ということです。
 
この感覚は、今のイオングループにも残っています。
 
中国の方々が、日本人の経営姿勢を肌で感じて頂き、日本人の良さを知って頂ければ、これほど嬉しいことはありません。
 
イオンの岡田卓也名誉会長が八十歳を過ぎて尚、中国へ木を植えに行くボランティア活動をしておられますが、けっして形だけの行為ではないということ、多くの中国の方々が気づかれること願っております。
 
それが、平和な世界を作る礎になると思います。
 
 

「身をけずり 人に尽くさんすりこぎの その味知れる 人ぞ尊し」

道元禅師 【link:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】
 
 
私が若い頃から好きな道元の言葉です。私は仏教徒ではありませんが、サービス業従事者にとっても、生き方を示した良い言葉だと思っています。
 
武漢市で今尚、店を開けている方々を思い、道元の言葉が心に熱く湧き上がりました。
 
 
武漢市の皆様の御無事と一日も早い快復を心より祈願致します。
 
武汉市各位 挺住! 我衷心祈祷您早日康复。