TOP | 全業種共通哲学編 | 【商売人の考え方1】閉店倒産の共通点_商売心得 四つの要素

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全サービス業共通 商売哲学編

PHILOSOPHY 

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 【商売人の考え方1】閉店倒産の共通点_商売心得 四つの要素

 
 
 
哲学編の講義の前半部が終わりました。
 
 
この6項からは、実践編に向けたアプローチになります。
商売を営む上で、けっして避けて通れない考え方を、各項にまとめております。
したがって、6項からの講義内容は、前の各項より、さらに商売に合わせた話になっていきます。
 
商売もビジネスも成功する人の物語、ノウハウは、誰でも簡単に書店で目にすることができます。
ところが、失敗する人達の物語や失敗するためのノウハウを知ることは、ほとんど無いでしょう。
失敗した人達が、発信できる機会や手段がないからです。
 
そのため、本当に知らなければならない方法を知らずに、商売を始める人の方が圧倒的に多いのです。だからこそ、閉店倒産する人が、後を絶たない。私は経験的に感じています。
 
私が学生の頃の話です。君主論で有名なイタリアの政治思想家ニッコロ・マキャヴェッリの言葉が、非常に心に入ったことがありました。【link:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】
 
 
それは、「天国に至る道を知るには、地獄に至る道を熟知することである」、地獄に至る道を熟知し、地獄を避けさえすれば、自ずと天国へ行けるという考え方です。
この言葉の妥当性を得るには、天国と地獄、二つの領域しかないことを前提にします。それでも尚、この言葉を、当時は非常に深い言葉に感じました。
 
コンサルタントの仕事をするようになり、商売の世界を見渡したときに、改めてマキャヴェッリのこの言葉の重要性を感じました。
 
なぜなら、商売の世界で成功軌道に乗るためには、成功者からより、失敗者から学ぶ方が確実と感じる事例を多く目にするようになったからです。
 
成功者の話は、確かに良い話しばかりで感動はします。ところが、いざ真似ようとすると、成功者が経験した同じ現象が起きない。
したがって、参考程度にしか実践で役に立たないのです。そのため、こんなはずではなかったと後悔することが多い。残念ながら現実です。
 
自己啓発本が大量に出版されているにもかかわらず、成功者が少ないことでも、分かって頂けると思います。
 
そして、一つ事例を言えば、同じ師匠に習った弟子達が、すべて成功するとは限らないのです。
 
なぜ成功する弟子と、失敗する弟子に分かれるのか。その原因も、既に発見しています。
成功する弟子は、師匠から技術以外の部分を必ず学んでいる。逆に、失敗する弟子は、師匠の技術を学べば、それで事足りると考えるのです。
怖いことは、どの業種でも同じ現象が起きているのです。
 
だからこそ、成功のノウハウより、失敗する人の共通点を先に学ぶことが近道と、様々な事例から学んできました。
 
失敗する人が共通している誤った認識、誤った行動を、先ずは絶対に行わない。
これが、結果的に成功に近いやり方になると、失敗者と成功者、双方から学びました。
 
このノウハウを、講義を受講される、あなたにもお分けします。
 
本講義からは、私が経験的に失敗する人達が共通してもっている心の「使い方」や価値観、そして行動様式を、まとめています。
 
 
 

商売が成功する人が持っていて、閉店倒産する人が持っていないものとは、何か。

 
 
これらを学ぶ講義が、はじまります。
 
もしあなたが、本気で商売の成功を願うなら、きれい事や気休めは何一つありません。心して受けてください。
 
 
そこで、ここからは学習目的を先に掲げます。
学習目的を意識しながら、講義を受けてください。
 
 
 


 
□ 講義目的 □
 
業種問わず閉店倒産する会社や店舗の経営者、従業員に共通するものを知り、商売が失敗する原因を学ぶ。
 
 


 
それでは講義をはじめます。
 
 
あなたは、不思議に思ったことはありませんか。
真面目に働いているにもかかわらず、閉店倒産する店がある。
 
けっして怠けているわけではないのに、客が来ない店がある。
 
なぜ、一生懸命働いているだけでは駄目なのか。なぜ、良品を店に置くだけでは駄目なのか。
あなたは考えたことがありますか?
 
多くの人達をみると、考えていないことが多いのです。
 
もしも、私の言うことに疑いがあれば、あなたの周りにいる人に、「怠けず一生懸命真面目に働いていて、閉店倒産する店の理由が分かりますか?」と、訊いてみてください。
恐らく、即答できる人がいないのでは無いでしょうか。
 
そして、この世には、もっと恐ろしい現実があります。
良品を並べ、けっして高値で売っている訳でもなく、来店客がいない訳でもない。それでも、売上が上がらず、閉店倒産する店があります。
良い商品を扱っても、美味しい料理を振る舞っていても、技術力があっても、閉店倒産する店があるのです。
 
なぜ、このような現象が起きるのか、その原因を知ることが、ここからの講義の目的です。
 
世の中の多くの人は、良いものを作れば成功する。良い商品を扱えば、客が来る。美味しい料理を出せば、行列ができると、何の疑問も持たずに商売を始めるのです。
 
あなたも、同じ考えですか?
 
もし、同じ考えなら非常に危険な考えで仕事をしているという自覚を持たなければなりません。
 
 
 

良いものを作っても売れる保証はない。
他に類を見ない良品でも、全く売れないことがある。
美味しい料理を振る舞っていても、再来店してくれるとは限らない。
技術力が高くても、顧客満足度が高まるとはいえない。
これが、この世の現実である。

 
 
 
この現実を知らずに商売をはじめることは、私から見れば、軽装で太平洋を横断するようなものです。
ところが、この軽装で太平洋を横断するような状態にもかかわらず、一生懸命働いていれば、必ず報われると固く信じて疑わない人が、実に多いのです。
 
真面目に働いていれば、確かに報われます。
しかし、報われるための正しい方法をとっているかが、大事なのです。
 
このようなことを話しますと、当たり前だと思う人も多いでしょう。
ところが商売の当事者になると、この当たり前のことにさえ気づかず、毎日真面目に働いていれば成功すると思ってしまっている。実は、こうした人達が多いのです。
 
 
余談になりますが、同じようなケースが、学校の勉強の仕方でもあります。
 
一生懸命に先生の言ったことをノートにまとめる。あるいは、参考書の要点をキレイにノートに書き写す。ところが、その作業だけで一日の勉強時間が終わってしまうのです。そして、本人は勉強した気分になります。ところが、いざテストを受けると点数が伸びない。
 
これが、真面目な性格なのに良い成績がとれない子供の典型的な勉強の仕方です。
 
全く勉強ができない子供と、非常に高い偏差値の子供の間にいる子供達は、俗に言う頭の良し悪しで成績に差が出ているのではなく、勉強の仕方そのものに問題があるのです。
 
これは、勉強の目的と手段が間違っていることを教えてくれる大人がいないから起きる現象です。テストで良い成績を得ることは、テスト時間中に答えを思い出すことができる能力が必要になります。
 
結論から言えば、キレイにまとめられているノートが無くても、テスト時間中に答えを思い出せれば良いのです。そうすれば、自分が希望する学校にも受かるのです。
 
私が拝見していて、認識のレベルが低いと感じる教師がいます。それは、理解させることを優先し子供に勉強させています。
 
ところが現実は理解力の差よりも、もっと大きな差があるのです。
テスト時間中に問われる想起力(思い出す力)といわれる力の差が、成績を左右していることを知らずに教えるから、子供の成績は差が埋まらないのです。
 
脳の学習スピードは習慣に依存しています。覚える習慣がない脳は覚えが悪い。また同時に、覚えたものを忘れていくスピード、忘却率も子によって違います。
 
これを計算に入れて教える先生が、少ない学校、塾、予備校は、学習成果が低いと予測しています。
 
私が、この先生は優秀だと感じる方は、教科内容だけでなく、勉強の仕方を教える事ができる人です。言い換えれば、記憶の三要素である入力、定着、想起、この三つを、いかに効率的に鍛えるかを知っていて、尚且つ、やる気を維持する方法も知っている教師が、優秀な先生だと私はみています。
 
 
 
あまり余談を話すと、切り無く話題がずれてしまうので、ここで本題に戻します。
 
商売も、目的と手段を間違えて進んでは、たとえ真面目に働いていても、良い結果を出すことは難しいのです。
だからこそ、目的と手段を適確にアドバイスすることが、私の様なコンサルタントの仕事だと思ってきました。
 
人間が、商売を営むということは、単に自分の会社を持つ、店を持つというだけではなく、自分の関係する人達、特に家族の人生もかかっています。
 
商売上の成否と、人生の成否が大きく重なり合う。それが、商売で身を立てるということであります。
 
私の身内にも、友人にも商売を失敗した人がおります。現実にあるため、ハッキリ申し上げますが、商売で失敗すると、死人がでる場合もある。これが商売の厳しい現実なのです。
 
この厳しい現実を知るからこそ、私がコンサルティングする際は、クライアントを路頭に迷わせることが無いよう肝に銘じてはじめます。
 
 
対人応対のテクニック論や実践編からではなく、哲学編の講義からはじめる明確な理由があります。
 
先に精神論を語り、気休めや、きれい事から始めるという生易しい考えではありません。
 
なぜなら、商売には軽視できない現実があるからです。
 
 
 

商売は善くも悪くも、商人の人柄が、無意識に商売のやり方に、すべて現れる。

 
 
 
商売の成否の源は、経営者の心根、そして、店内で働く人達の生き方が原因であることが、ほとんどなのです。
それが、この世の厳しい現実であります。
 
今ここで、私が言っていることは、けっして気休めではありませんので、実際に生じている現象をお話しましょう。
 
 
客数が伸びない、売上が上がらない店を立て直すために、店舗デザインや取扱商品を替えても、なかなか上手く行きません。いかに多額のコストを掛けて立派な店舗にしても、一過性で終わることの方が多いです。これは、大資本の企業でも例外ではないのです。
 
なぜ、上手く行かないのでしょうか。それは、店内で働く人達の、商人としての生き方を問い直さないからなのです。
 
店内で働く人の心の状態が、実は店作りに多大な影響を与えていることに、ビジネスマン教育を受けただけの管理職では気づかないのです。
 
その証拠に、売上や集客が悪化した店舗の回復を行える人を観察してみると、手始めに働く人の意識改革を行っています。
 
 
環境に変化を起こす摂理があります。
 
それは、人は意識が変わらなければ、行動が変わりません。行動が変わらなければ、環境に変化が生じません。
環境変化を願うなら、先ず人の心根から変えはじめる。これが、環境変化の摂理です。
 
この点に気づかなければ、大企業が多額の投資を行い、店内外を新装しても、売上が悪化した店舗の状況を変えることは難しいです。
これが、東京都内の駅前にある大型店でも苦戦している理由の一つです。
それが、商売という世界なのです。
 
では、具体的に、どう意識改革するのか。その答えを導く講義が、本6項からの哲学編の全講義になります。
 
だからこそ、改めて真剣に受講して頂きたいのであります。
 
 
 

商売の法則を知ることで最も尊いことは、行列のできる店舗から学ぶことよりも、
一生懸命に働いても尚、閉店になる店の共通点を知ることである。

 
 
 
現実に生じている厳しい現象を踏まえて、もう少し話をします。
 
閉店になる店が、怠けていたり、不真面目に働いているのであれば、全ての人が、閉店は当然だと納得できると思います。
 
しかし、店主の人柄も良く、一生懸命働いているにも関わらず、閉店になる店があるのです。
だからこそ、軽視できないのです。
 
 

商売を簡単に考えてはいけません。

 
なぜ人柄も良く、一生懸命に働いている人が閉店になるのでしょうか。
 
最初から閉店を目指して開店する人は、この世にはいないはずです。ところが、私からみると確実に閉店に向かって進んでいる店があるのです。
 
会社も同じで、倒産しようと思って経営している経営者もいなければ、倒産させようと思いながら働いている社員の方も少ないはずです。それでも、倒産に追い込まれるのです。
 
一般的には、資金繰りの悪化が閉店、倒産の原因とよく言われます。
 
しかし、資金繰りの悪化よりも重要なことがあるのです。
それは、資金繰りが悪化するまでに生じている現象を見逃していることなのです。
これに気づくことが、商売の法則の中で、最も大切なことであります。
 
 
 

まずい料理を出さない外食店が閉店する。
その現実が、技術力だけでは商売が、続けられない怖さを証明している。
商品力や技術力向上だけで、繁栄継続できるほど、商売は甘くない。
この覚悟を持って開店するかが、成否を決める。

 
 
 
日本国内の外食業を例にすれば、三年以内に七割が閉店、十年以上続けられるお店は、一割と言われています。
 
見過ごせない重要なことは、閉店する店のすべてが、まずい料理を出しているわけではない事実です。
 
日本では、まずい料理を出すことの方が難しいのです。では、美味しい料理を出している店が、なぜ閉店になるのか。
 
あなたは、何が原因だと思われますか。
この原因に気づければ、あなたの商売の成功確率は、みるみる高まります。
 
無論、お客さまからお金を頂戴する以上、商品力や技術力は、どの業界も必要です。
粗悪品を提供し儲けようと考えれば、それは善良な人の商売ではなくなってしまいます。
 
 
実は商売には、閉店倒産するに至る、目に見えない大きな落とし穴があるのです。
商売の落とし穴を知らない人の方が多いかも知れません。
 
この落とし穴に、運良く落ちずに済んでいるか。落とし穴を知らずに落ちてしまっているかが、商売の成否を分けています。
 
 
私に、この現象を気づかせてくれた多くの事例から、一つお話しましょう。
 
大都市では、駅前に美容室がたくさんあります。美容師は専門学校を卒業して、カット、パーマ、カラーの基礎技術は、身に付けて入社することが、ほとんどです。一部例外はありますが。
 
そして、入社後も見習いとして、実践的な訓練を続けます。どの美容室も直ぐにはお客さまの後ろに立てません。
ある一定のレベルまで到達してはじめて、お客さまの対応ができるのです。
したがって、美容師であれば、仮にトップデザイナーと評価されていなくても、美容師として一人前の技術は習得しています。
 
ところが、閉店倒産する美容室と、激戦区でも経営できる美容室に分かれていくのです。
技術力は、お客さまからお金を頂戴できる程度は有しています。では、何が違うのか。
 
閉店倒産する美容室で働くほとんどの人は、カット、パーマ、カラーの技術力さえ高ければ、お客さまが増えると錯覚しているのです。
 
現在の状況を見て、美容室経営の成否が分かれる分岐点を、美容学校も、美容室チェーンでも教えていないのだろうと見ています。
 
美容室の成否が分かれるのは、単にカット、パーマ、カラーの技術力だけではありません。
閉店倒産する美容室で働く人達が、まったく想像すらしていないところで差が生まれているのです。
 
 
数十年前の実在の話です。
当時、私は美容室の成否が、どこで分かれるのか。はっきりとした理由は分かりませんでした。
しかし、成功する美容師がどういうタイプかは、当時から既に気づいていました。
 
ある美容室に中学校を卒業したばかりの女の子が入社してきました。当時は、女の子という言葉が当てはまる雰囲気でした。
 
中学生の頃に、親を亡くし高校の進学を諦め、知人が経営する美容室チェーンに入社したのです。
 
私は、入社したばかりの、その女性がシャンプー台に立ち、見習いとして働いている姿を、何度か見ていました。
 
あるとき、当時の店長に私が「彼女は将来この店のトップデザイナーになりますよ。」と、言いました。
周りで、聞いていた先輩美容師達は、そんなことあるわけが無いという雰囲気でした。小馬鹿にする態度で私の話を笑っている人もいました。
 
無理もありません。美容学校も行かず、中卒で見習いとしてシャンプー台しか立ったことがない。その人が、トップヘアデザイナーになるとは、常識的に想像できなかったのでしょう。
 
結果は、五年も経たない内に店長になり、その後、グループ店舗の百人ほどを束ねるマネージャーとなりました。
そして圧巻なのは、オーナーが営業不振で退店を検討している店に、その彼女を赴任させると、売上が、数ヶ月もしない間にV字回復してしまうのです。
 
なぜ、シャンプー台の仕事ぶりだけで、私が将来の姿を予言できたのか。
 
その理由をお話ししましょう。私の生来の感覚と言ってしまうと、それで話が終わってしまいますので、肉眼で見える世界で説明します。
 
入社間も無いシャンプー台に立っていた頃の彼女は、爪を人よりも短く切り、そして、「どこか、かゆいところがございますか。」と、あなたも聞いたことがある台詞は、言いませんでした。その代わり、他のスタッフよりも、5分長くお客さまの髪を洗うのです。
 
たった5分でも、一日10人のお客さまに対応すれば、人より50分多く仕事をしていることになります。その結果、私も一生忘れないほどの、手をしていました。
 
毎日、人よりも長くシャンプー台に立った彼女の手は、野球のグローブのようになっていました。後にも先にもあれほど、無惨な手を見たことが無いと言って良いほど、原形を留めないほど腫れ上がり、色も変色していました。正直に表現するとホラー映画に出てくる特殊メイクのような手でした。
 
年頃の女の子なら、人目も気になるはずです。途中から手を抜くことも、いくらでも考えられたはずです。
ところが、自分は水仕事が慣れていないだけと、笑っていました。
 
 


私の講義で重要な箇所は、脳は忘却するということを踏まえて、あえて何度でも繰り返します。そのため、同じ事を他の講義でもお話するかと思います。
重ねてWebページはどちらのページから閲覧されるか分かりません。利便性も考慮し、同じ話や事例を語ることがあります。
私が繰り返して語る部分こそ、軽視できない重要な点とお考えください。

 

この後も講義は続きますが、ここで簡単に美容室の例の結論を言います。 
 
シャンプーしかできないレベルでも、自分の手をかばわず、自分のことよりもお客さまを優先する。彼女は、入社当初から一流の人が有している心の状態と同じだったのです。
 
一流と呼ばれる人達と同じ心の状態なら、技術は後から付いてくる。これは、どのジャンルの世界も同じです。
 
なぜなら、人体は、心が誘導して動かしているからです。誘導している心の状態が正しければ、体は、仮に時間がかかっても、正しい動きをするようになります。これが、動作の基本的な考え方です。
 
 
職業職種問わず人間である以上、人間は自分の心と命の「使い方」で、未来の居場所が変わります。
さらに自分の心と命を、どの方向へ向けるかで、挫折する確率が下がり、成長率や将来性も変わります。
この現象さえ分かっていれば将来の姿を予言することは、難しくないのです。
 
 
シャンプーを人より5分長くするという心は習慣となり、カット、パーマ、カラーの時でも同様に機能します。
 
美容師に限らず、料理人の世界でも類似の現象があります。
 
皿洗いをしている見習い中に将来、はな板になれる人かが簡単に分かるのです。
将来、店を持てる料理人か、持てない料理人かは、見習い時期の皿を洗う心の状態で、既に現れているのです。
よく観察すると皿の洗い方に違いがあるのです。そのため、私には難しくなく見分けがつきます。
 
あなたにも、この見極める方法は、哲学編の講義の「二流の壁」で分かるようになります。安心して下さい。
 
 
美容師が、カット、パーマ、カラーの技術を、いかに高めても、それだけでは、駄目だと言う理由を、少し感じて頂けたでしょうか。
 
技術力を支えている心根の状態が、経営の成否を担っています。この厳しい現実に気づかないから、閉店倒産する店になるのです。技術力だけに頼っていると、落とし穴に落ちる。技術系の職業は非常に注意が必要です。
 
美容室以外でも、同じようなケースがあります。
 
メーカーの技術者が、会社を辞め独立します。
そして、「このような商品は他にない。だから必ず売れる」と、ほとんどの技術者は言います。
 
確かに、この技術は凄いと思った商品を、私は何度も見ています。
ところが、いざ売り出してみると、全く売れない。既に売れている商品よりも、性能も価格も見劣りしないにもかかわらず、全く売れずに、倒産する会社があります。
 
外食業でも、うちの料理は他より美味いと、ほとんどの料理人は言います。
ところが、再来店がなく閉店倒産する店があるのです。
 
ではなぜ、こうした現象が起きるのか。
 
商売で成功するのも、失敗するのも、必ず原因があります。
 
 
 

商売で失敗しない確率を高めるために、どうすれば良いのか。
それは開店準備から商売が軌道に乗るまでの間に全ての商売は、正しく昇るべき階段があることを、先ず知る事である。

 
 
 
私は長い間多くの事例を観察し学ぶことで、失敗する人達の共通点を発見しています。
 
商人道義塾で初めて聞くような内容だと思い、前置きが長くなりましたが、ここからが、本講義の本題です。
 
 
 

 繁盛店になるために必要な「三つの階段」がある。
 そして、その階段の登り方に、商売の成否を決める最大の原因があった!

 
 
下の図を見て講義を受けてください。
 
赤いシルエットの人が失敗する人、青いシルエットの人が成功する人です。

 
三つの階段図

 
 

 一つ目の階段:商売の心得

 

 二つ目の階段:儲ける準備

 

 三つ目の階段:儲け方

 
 
商売する人達をみて、なぜ成否が分かれるのか。最初は私も不思議でした。
 
成功する人の話は本屋に行けば、成功話は学べます。
ところが、失敗して路頭に迷う人の話は、ほとんどの人が学べません。
それでも常識的に、破産したあとの悲惨な状態だけは、多くの人が知っています。
 
そこで、私は、成功する人達と、失敗する人達の最も顕著な違いに着目すれば、商売に必要なことも同時に分かるのではないかと考えたのです。
 
そこで、多くの事例を見聞きしながら、成功する人達が持っていて、失敗する人達が持っていないものが分かりました。
 
それが、ここでも図に表している「繁盛店になるために必要な三つの階段」と、私が呼んでいるものです。
 
 
 
商売で失敗する人を観察してみると、二つ目の階段である儲ける準備からはじめていることが分かりました。
 
儲ける準備は、いわゆる開店準備になるため、店を開く全ての人が避けては通れません。必ず行うことになります。
 
儲ける準備は、商材、店舗設計、店舗備品、原価計算、価格設定、求人募集、人材教育、広告宣伝等々があります。
 
儲ける準備が終わり開店となります。最初は物珍しさもあってお客さまは、入店されます。
そして、売上が増えてきますと、オーナーは、三番目の階段を上ろうとします。
 
三番目の階段は、儲け方になります。
 
いい意味で人間には欲望があるため、商売が上手く行きはじめると、ますます儲けたいという心理が強くなります。これは、自然なことです。
 
店舗数を増やしたい。採用人数を増やしたい。銀行取引や、業者取引を増やしたい。広告宣伝を業者に委託して集客を益々増やしたい。
 
ますます儲けたいと思う状態が、この三番目の階段になります。
 
店舗をもって商売をする人達は、業種を問わず、二番目と三番目の階段を踏まずに進むことは、ほとんどありません。よく考えて頂くと分かるように、二番目と三番目の階段を踏まないのは、物理的に不可能です。
 
 

ところが、集客が減ったと悩み続ける経営者や、閉店に追い込まれる経営者に共通しているのが、必ず開店前に踏まなければならない、一番目の階段を飛び越して、二番目の階段から始めているのです。

 
 
怖いと私が感じたのは、業種を問わず、失敗する人は、一番目の階段を踏んでいないのです。
 
もし私の言うことに疑いがあるなら、あなたの周りの人を観察してみてください。
 
商売が成功する人がもっていて、閉店倒産する人が持っていないものがあるのです。
それが、一番目の階段、「商売の心得」であります。
 
 
何が商売の失敗の確率を高めているのか。
一番目の階段、商売の心得は、家造りに例えると、土台になります。二番目の階段の儲ける準備が柱とすれば、三番目の階段は、屋根になります。
 
したがって、閉店倒産する人は、土台を造らずに、柱を立て、屋根を載せている状態と同じなのです。
 
私が怖いと感じた理由は、晴天の時(商売が順調な時期)は、気づかないからなのです。
 
悪天候になり強い雨、風が吹き倒れてから、土台が無かったことに、初めて気づくのです。
これが、「商売の失敗」なのです。
 
なぜ、商売の心得が大事なのかを、非常に厄介なことに、良い時には気づきません。
 
商売は、景気や流行に左右されるので、良い時ばかりとは言えません。
そこで、全ての商人には、悪くなった時に、負けずに頑張ろうと心の支えになるもの。
逆に良い時には、慢心しないように、身を律する働きとなるものが必要です。
これが、「商売の心得」なのです。
 
商人にとって、商売の心得とは、転ばぬ先の杖でもあり、自分を励ます応援歌でもあります。
苦しい時にこそ、商売の心得が有るか無いかがものをいうのです。
 
浮き沈みのある世界で、沈みっぱなしにならないためには、沈んだときに自分を鼓舞できるかがその後を決めるのです。
 
小学校しか出ていない人が、商売で大成功したり、ビジネスの専門知識がないのに、世界中に店を出せたりするのも、商売の心得が盤石だからなのです。
 
多くの見本がありますが、ここでは数人の良い見本をお話します。
 
その見本が、松下電器産業の創業者 松下幸之助翁であり、またザ・ボディーショップの創業者アニータ・ロディック女史であります。また、英国ヴァージングループを率いるリチャード・ブランソン氏です。【上記各ink:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)参照』】
 
 
ご存じの通り、松下幸之助翁を、改めてここで語る必要はないでしょう。
アニータ・ロディック女史をみて分かるように、ビジネスの専門知識よりも、商売の心得を有している方が、商売の成功は近い。実に良い見本だと思います。
 
無論、英国人のアニータ女史が商売の心得という言葉は使いません。しかし、私が言う商売の心得は、1店舗めからアニータ女史が実践しており、また彼女が作った企業理念、ファイヴ ヴァリューズに体現されています。
 
アニータ・ロディック女史の生き方をみれば、一つ目の階段をしっかり登ることが、気休め無く大事だと簡単に分かります。
 
ところが、商売の心得の本意を分からずに、アニータ・ロディック女史の著作や記事を熟読したぐらいでは、商売は上手く行きません。
 
サー・リチャード・ブランソンも、高校を中退し起業し始めました。経営学学士も経済学学士も有していない。それでも、彼は困らない。
彼の商売の心得が盤石であるということは、彼の著作や、彼と接したことのある人なら、彼の人柄を通じて容易に理解できることだと思います。なぜなら、私もその一人だからです。
LinkIconサー・リチャード・ブランソンのお人柄を感じたい方は、こちらへどうぞ>>>(©Twitter)
 
 
 
では、商売の心得とは何でしょうか。
 
あなたには、自らの仕事を踏まえ、自問自答しながら真剣に考えて頂きたいのです。
それでは、商売の心得についてお話しましょう。
 
商売の心得は、四つの要素と、この四つを二つに分けた領域から成り立っています。
 
 

商売の心得の要素とは、
 
「生き方」
「使命」
 

 

「存在証明」
「継続意義」

 

 
これら、四つです。

 
 
そして、最初の「生き方」、「使命」が、自分の在り方を決める「第一領域」になります。
 
 
その後の「存在証明」、「継続意義」が、自分以外の人間と、どのように接するか。そして、自社、自店を、どの方向に進めていくかの志を、心定めする「第二領域」となります。
 
 
 

言葉を換えれば、自分の生き方、在り方を決める内界の世界が、第一領域。

 

自分以外の人への応対の仕方を心定める外界の世界が、第二領域。

 
この二つの領域から、商売の心得は成り立ちます。
 
最終的に、この二つの領域が心定まって初めて「商売の心得」を得たことになります。
したがって、どれ一つ欠けても意味を成しません。これが見過ごせないところです。
 
6項の講義前編は、ここで終わります。
 
講義中編は、四つの要素についてと、二つの領域について学び、後編は、これらを持たない怖さについて講義します。
 
 
それでは、続きは中編へどうぞ。>>>
 
 

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